僕の綱吉君は小さい。
外見も内面も、かなり小さい。
しかしそれがいい。
腕の中にすっぽり納まってしまう。
なんてかわいい生き物なのだろう。
「……全部、声に出てるぞ」
「おや」
「ていうかいい加減離せよ!」
すっぽりサイズの綱吉君は、腕の中で精一杯暴れてみせた。
「あぁ、かわいらしい」
がっちりぎゅっと抱きしめて、その首筋に顔を埋める。
安っぽい石鹸と、汗の匂い。
「心配なさらずとも、まだまだ伸びますよ」
「え、そうかな」
「まぁ、僕の身長を抜くことは一生かかっても無理でしょうけど」
「腹立つ!」
クフフ、と笑ったと息が肌にかかる。
びくりと、やはりかわいらしい反応。
「っ離せ、よ」
「もう少し」
苦しまないように、けれど独占欲が伝わるように、腕に力を込める。
長くはない逢瀬が終わり、長い長い眠りが訪れる。
せめて感触だけでも記憶に留めて。
短くとも幸せな夢がみられるように。
「なぁ、骸」
「はい?」
彼が振り向けるように、少し力を緩めた瞬間――不意に、唇に柔らかいものが押し付けられた。
「……え?」
目の前には真っ赤に染まった顔。
珍しくも理解に時間がかかった。
「え、えぇぇ?」
想いが伝染したように、こちらまで顔が熱くなってしまう。
なんて不覚。
顔を隠すようにうつむくと、額が彼の肩に乗った。
徐々に消えていく感覚。
もう逢瀬の終わりが近いだなんて。
「……ずるい人ですね」
少し前まで、こんな感情があったことさえ知らなかったのに。
眩暈と浮遊感が終わりを告げる。
名残惜しいけれど。
「おやすみなさい、綱吉君」
最後に優しく抱きしめて。
「……おやすみ、骸」
―――意識が、堕ちる。
僕の綱吉君は小さい。
けれど、その存在はとても大きく。
温かく。
そして、愛おしい君。