11 | 自由の所在





『 自由の所在 』





 空を見上げれば鳥を羨ましく思う。
 なぜ自由に飛べるのだろう。
 海を見つめれば魚を羨ましく思う。
 なぜ自由に泳げるのだろう。



 いつの間にか絡まっていた。
 見えない枷に膝をつく。
 求めていた繋がりは重い枷だった。



「空を見てごらんなさい。飛行機に乗って、人は鳥よりも高く、遠くへ行ってしまうことができる」



 水の音と枷の音が重なって。
 澄んだ声が歪んで響く。
 彼はこうなることを予見していたのだろうか。



「海を見てごらんなさい。船に乗って、人は魚よりも速く、遠くへ行ってしまうことができる」



 苦しみと痛みは増えるばかり。
 それ以上の喜びもあったけれど。



「貴方は人間のくせに、鳥や魚に憧れるなんて、愚かしいこと極まりないですね」



 それでも自由を求めてしまう。
 飛行機じゃ知れない鳥の。
 船じゃ知れない魚の。
 がんじがらめでも、自由かもしれない。



「素晴らしい矛盾ですね。では、枷が外れた、その時は――」



 空と海の憧憬。
 あるいは人間の優越感。
 すべて捨ててでも。
 求めてしまったから。



「××、×××××××××」



 ひとつだけの枷。
 それだけで、

 ―――自由だと言い切れる。