20 | 鳥籠に、鳥を一羽

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『 鳥籠に、鳥を一羽 』





 ねぇ、神様。
 彼と引き合わせてくれたということは
 ねぇ、神様。
 彼を自分の物にしてもいいってことですよね。



 陽射しが暖かい。
 世界に祝福されているような気分。
 もうすぐ、会えるんだ。
 こんなに人と会うのが待ち遠しいなんて、今まで感じたことがあるだろうか。
 早く。早く。
「――本当に、いいのか」
 振り向いて、不機嫌な家庭教師を視界に留める。
「何が?」
「復讐者(ヴィンディチェ)に、半永久的な資金提供を約束した件だ」
「ボンゴレならどうにかなるだろ?」
「……金の問題じゃねえ。他のマフィア連中が納得すると思ってんのか」
 襲名してまだ日も浅いというのに。
 ボンゴレ10代目ボスが最初に取った行動は、誰にとっても予想外だった。
「六道骸の釈放なんて」
 故に反対意見も多く、今でもすべてを説得しきれてはいない。
 猛獣を檻から出すようなもの。
 それでも――


 一目見て、思ったんだ。
 世界中のキレイを集めても
 彼には適わない、と。


「ボンゴレの厳重な監視下、常に俺の目の届く場所に置くって、条件はちゃんと飲むよ」
「条件じゃなく、それこそがお前の目的なんだろ」
「……そんなことないよ」
 笑いながら、再び鉄の扉に視線を戻す。
「それに、――みんなすぐに、納得してくれるよ」
 どんな手を使ってでも、納得させるから。
 早く出ておいで。
 こちらにおいで。
 君に似合う籠を用意したから。

 家庭教師は帽子を深く被り直しながら、小さな呟きをこぼした。
「――とんだ獣を起こしてくれたもんだよな」
 出逢わなければ表に出ることもなかったはずの本性。
「何か言った?」
「いいや。もうすぐ時間だ」
 檻から出たのはむしろ――



 ねぇ、神様。
 彼と逢わせてくれてありがとう。
 ねぇ、神様。
 だからあとは、俺の自由ですよね?


 ねぇ、
 大事にするからね。
 ――永遠に。






× × ×

ブラック綱吉光臨です。暗黒面にとり憑かれてしまわれました。
すべては骸さんがあんなんであるせいです。冗談です。

水面下でちょっとずつ狂っていくっていうのが結構好きです。