41 | 大事なモノには「  」を(6927ver.)









     『 大事なモノには 「 鎖 」 をつけて 』








 何よりも愛してあげるから。
 どうか何処へも逃げないで。



 チリ、と金属の擦れ合う音。
 それは彼の細い首から伸び、ベッドの柱へと続く。
 昨夜に啼かせた痕がまだ消えない。
 嗄れてきた喉にキスを落とす。
「……もう、見つかる頃じゃないか……?」
 彼を閉じ込めて一週間。
 彼と閉じ籠って一週間。
 ずっと、ずっと、同じベッドの上。
「そろそろ、雲雀さんがここ見つ――っ」
 所々に花弁を散らす肌に爪を立てる。
「僕以外の名を口にしないでください」
 流れ出る血液を舐め取り、新たに鬱血の痕を残す。
「君は僕のものです。誰も、誰にも、誰であろうと……」
「骸」
 鈴のような金属音。
 乾いた唇が触れ合う。
「心配しなくても、俺はずっと、いつまでも、お前のものだから」
「けれど、君は、いつも誰かと一緒に笑っていて、誰にでも愛されて、」
 嫉妬。羨望。独占欲。愛憎。
 そのすべてが醜く、知らしめる。


「そう……まるで、僕など必要ないほどに――」
「必要だよ!」


 無理に大きな声を出したせいで、激しく咳き込んでしまう。
 それでも伝えなきゃいけない。
「……必要に、決まってる、だろ」
 この身にぶつけられた激情。
 黒く、濁っていて、タールやヘドロのようにまとわりつく。
「骸がいなきゃ、他の誰と一緒にいたって、愛されたって、こんなに、満たされることなんてない……」
 いつしか、心地よいと感じるようになっていた束縛。
 少しの潤いを求め、舌を絡ませる。
 きつく抱きしめて、爪を立てて、呼吸よりもキスを繰り返す。
「愛してる。誰より。だから」
 全身の痛みが実感させる。
 愛されているという事実。
「もっと愛してみせて……」
 薄暗く閉ざされた世界で。
 たった二人きりの世界で。
 永遠を望んで。
 彼と共に、手の中に閉じ込めたものは。



 何処へも逃がさない。
 何より愛しているのだから。








     『大事なものには「 鍵 」をかけて』







× × ×

これは暗い!

ちょっとした「愛し方」の違いということで。
骸さんは鎖に繋ぐことで相手を縛り、綱吉は鍵をつけて閉じ込めることで相手を縛る。
そんな歪んだ話が大好きです☆