――何気なく、
壁のカレンダーを見ると、明日の所に丸がついていた。
考える。
……記念日? 何の。
誰の誕生日でもない。
予定もなかったはず。
考えても答えがないなら。
背もたれに向かって、問う。
「明日って何かあったか?」
もたれていた背が振り向いて、答える。
「何もないはずだけど? なんで?」
「カレンダーに丸ついてる」
「あぁ、あれなー」
山本は晴れやかに告げた。
「願掛け、みたいな。ほら、『丸一日』一緒にいられますよーにって」
冷気。
「しょーもね………」
がっくりと背中を丸めると、大きな犬がのっかかってきた。
「獄寺?」
「……願なんかかけなくても、充分だろが」
「ま、そうなんだけどさ」
首筋に音をたててキス。
「そんだけ愛してるってコト」
「――っ果てろ!」
何気ない。
でも、それが幸せというもの。