12 | 雨ニモ負ケズ!嵐ニモ負ケズ!





『 雨ニモ負ケズ! 嵐ニモ負ケズ! 』





○  side-Y  ×  side-G  ○






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☆side-G


 絶え間なく降り注ぐ雨。


 予報では夜から降ると言っていた。
「やっぱ降り出しちゃったのなー」
「傘持ってないのかよ」
「帰るまでは大丈夫かなーと思ってさ」
「馬鹿か」
 傘が一本。
 一人で使えばどっちかが濡れるのは必然で。
 それでも折衷案は言い出しにくい。
「……どうすんだよ」
「ん? それはもちろん」
 人の傘を奪ったかと思うと、ぱっと開いて笑顔をみせた。
「相合い傘、な?」
 入れてもらう気満々かよ。
 つか恥ずかしげもなく言いやがって。
「……お前のが背ェ高いからお前が持てよ」
「おー」
 笑うなむかつく。


 雨は少し強くなったようで、速いリズムで傘を叩いた。
「もっとくっつかないと濡れるぜ」
 ぐいと肩を抱かれ、不意に密着。
「っ離せよ!」
「でも俺のせいで獄寺濡らすわけにもいかねぇし、それに……」
「な、何だよ」
「なんかすげぇ独占してる気がして、いいよな相合い傘って」
「果てろ!」
 叫んで離れようとしても、腕力で勝てるはずもなく、悔しさに歯噛みする。
 いつかノしてやる絶対に。


 寿司屋に着くと、間髪いれず提案してきた。
「今日泊まってけよ、な?」
「なんで」
「なんか雨すげぇ強くなってきたし、風も出てきたしさ」
「別に大丈夫だろ」
「俺が心配なんだよ。な、泊まってけって」
 引き留められる間に、さらに雨は勢いを増して。
 操ってんじゃねぇのかと本気で考える。
「なー、獄寺、いいだろー?」
 ちょいちょいと服の裾を引っ張る。
 黒い大型犬。
 外は豪雨。
「……着替えとかちゃんと貸せよ」
「やった!」
 とびっきりの、嬉しそうな笑顔。
 そんな顔するから。



 クソっ、また負けた!!












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☆side-Y


 どこまでも破壊的な嵐。


 予報では台風が近いと言っていた。
「風呂あがった」
「あ、おかえりー」
 扇風機の前を陣取られる。
 肩にかけたままのタオルを取って髪を拭いてやる。
 予想外にも抵抗がなかった。
「獄寺の髪って猫みてー」
「うー……」
「もしかして、のぼせた?」
「てねぇよ……」
 そういう肌はいつもより紅が濃くて。
 抱きしめかけたが自制心でブレーキ。
「だるいなら横なる?」
 提案したそばから、こてんと。
 まさかの膝枕。
「え、ちょ、えぇ?」
「うるせぇ」
 何かのごほうびですか。


 本当に台風が近いようで、激しく窓ガラスを叩いている。
「なんでそのまま寝るかなー」
 膝の上では穏やかな寝息。
 ありとあらゆる展開を予想していたけれど、これはない。
「いたずらしちゃうぞー?」
 さらさらと髪をもてあそぶも無反応。
「まっじかよ……」
 揺さぶっても何しても起きる気配はなく、どうしたものかと頭を悩ます。
 いつでも自由すぎるって本当に。


 なんとか布団の上に移動する途中で、目が開いた。
「……寝てた」
「うん、すげぇ寝てたのな」
「ずっといた?」
「うん、ずっと枕してた」
「そか……」
 再び瞼が下りてしまう。
「え、寝るの?」
「……寝てもいいけどな」
 ぎゅうと腰に抱きつかれる。
 銀の猫。
 外は暴風雨。
「……してもいいってコト?」
「ちゃんと寝かせろよ」
 片目を細める、皮肉屋な笑い方。
 そんな笑い方するから。



 一度だって勝てやしない!!






× × ×

ぐ だ ぐ だ !!
もっとなんか嫌いだけど許しちゃうみたいな話にしようと思ったんですが
甘ダレソースにしかなりませんでした。スミマセソ
わんわんとにゃんにゃんでいいんじゃねえの試行作ということで。
あと
山本はもっと禁欲的でもいいと思う。手ェ出せずに悩めばいい。