17 | Pre-





『 Pre- 』





 ただの転校生。
 最初はそんな感じ。


「獄寺って休みの日とか何してんの?」
「別に何もしねぇよ。つか近寄んな!」


 友達の友達。
 いつの間にか一緒にいるようになった。


「獄寺ってツナと仲いいのな?」
「当たり前だ。つか邪魔だお前!」


 ランク上がって友達。
 ちょっとは信頼されてるのだろうか。


「獄寺って将来何になるんだ?」
「もちろん十代目の右腕だ!」


 やっと隣に立てたけれど。
 どうしても間にひとり、挟んだ関係で。


「獄寺っていつも何見てんの?」
「テレビの話か?」
「や、そうじゃなくて……」


 その瞳に映っているのは。
 その視界を占めているのは。


「つかお前、聞いてばっかじゃねぇか」
「そうかな」
「そうだろ」
「うーん、だって」


 小さな意識のカケラ。


「もっと、知りたいから」



 ドキドキするこの気持ち。
 ドキドキさせる君の気持ち。






× × ×

恋と気づく直前。
山本の場合、あっけらかんと「あぁ恋か」と気づきそうですが。