24 | Bite Back

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『 Bite Back 』





 まるでビー球のようにカラフル。
 ガラス瓶の中の宝石たち。
 からころからり。
 今日は何色。
「何だ? それ」
 隼人はソファー越しに、抱きしめるように身を乗り出してきた。
「珍しくて、買ってきた」
「ふぅん」
 留め具を外し、問う。
「何色がいい?」
「なんかあんのか?」
「お楽しみ」
「……じゃあ、赤」
 赤はルビー。
 嵐の炎と同じ色。
 灼熱の情熱。
 知らず、笑みがこぼれる。
「やっぱ隼人に似合うのな」
「な、んぐ」
「赤はイチゴ味」
 大きな一粒を口の中に押し込んで。
「……なんだ、アメかよ」
 からころからり。
 宝石が歯に当たる音。
 舌に遊ばれて。
 甘く溶かされていく。
 ――我ながら、エロい想像だよな。
「隼人」
「んんっ」
 髪に指を絡めて引き寄せて。
 唇に噛みつくように。
 宝石を間に挟んで、舌を絡ませて、甘い唾液を喉に落として。
「は、あっ」
 真珠に縁取られたエメラルドが濡れて光る。
 目を離せるわけがない。
 こんなに綺麗な宝石が目の前にあるのに。

「ふ、んく」
 やがてルビーの欠片も消えてなくなり。
 べたつく甘さが残るだけ。
 その余韻を共有する間もなく。
 手をすり抜けて、ソファーの後ろに隼人が消えた。
「おぉ、どうした?」
 背もたれから身を乗り出して見下ろすと、隼人が床に座りこんでいた。
 流れた髪の間からのぞくうなじは、銀に映える赤。
 しばらくして、隼人が涙目で睨み上げてきた。
「テメェのせいで、腰、立たねぇんだよ……!」
「それは……」
 やばいかわいい。
 このまま襲ってしまいたい。
 まだ仕事残ってるけど、明日やればいい気がしてきた。
 うん、しかたない。
「責任取らせてもらおうかな」
「はぁ? って、ちょ、ま」
 ひょいと抱き上げ、そのままソファーに押し倒して。
 からころからり。
 それ以上、文句言われる前に宝石ひとつ。
「何味だと思う?」
「知るか、離せ、この馬鹿っ」
「舐めればわかるぜ」
 舌に乗せて、その口へ。

 青はサファイア。
 雨の炎と同じ色。
 沈静にして沈勇。
 けれど、その本質は――

 やはり焦熱の情熱。






× × ×

やまなしおちなしいみなし!!
タイトルの意味は「かみ返す」
「bitter」の原語が「bite」だそうで、バレンタインの話と関連付けてみました。
二字熟語は適当に調べて面白そうだったので使ってみただけです。
宝石はなんか好きなので。
青はたぶんブルーハワイとかよくわからん味だと思います。

なお、アメと獄寺は撮影後、山本においしくいただかれました。
そういうプレイはしてないと思うよ!!