まるでビー球のようにカラフル。
ガラス瓶の中の宝石たち。
からころからり。
今日は何色。
「何だ? それ」
隼人はソファー越しに、抱きしめるように身を乗り出してきた。
「珍しくて、買ってきた」
「ふぅん」
留め具を外し、問う。
「何色がいい?」
「なんかあんのか?」
「お楽しみ」
「……じゃあ、赤」
赤はルビー。
嵐の炎と同じ色。
灼熱の情熱。
知らず、笑みがこぼれる。
「やっぱ隼人に似合うのな」
「な、んぐ」
「赤はイチゴ味」
大きな一粒を口の中に押し込んで。
「……なんだ、アメかよ」
からころからり。
宝石が歯に当たる音。
舌に遊ばれて。
甘く溶かされていく。
――我ながら、エロい想像だよな。
「隼人」
「んんっ」
髪に指を絡めて引き寄せて。
唇に噛みつくように。
宝石を間に挟んで、舌を絡ませて、甘い唾液を喉に落として。
「は、あっ」
真珠に縁取られたエメラルドが濡れて光る。
目を離せるわけがない。
こんなに綺麗な宝石が目の前にあるのに。
「ふ、んく」
やがてルビーの欠片も消えてなくなり。
べたつく甘さが残るだけ。
その余韻を共有する間もなく。
手をすり抜けて、ソファーの後ろに隼人が消えた。
「おぉ、どうした?」
背もたれから身を乗り出して見下ろすと、隼人が床に座りこんでいた。
流れた髪の間からのぞくうなじは、銀に映える赤。
しばらくして、隼人が涙目で睨み上げてきた。
「テメェのせいで、腰、立たねぇんだよ……!」
「それは……」
やばいかわいい。
このまま襲ってしまいたい。
まだ仕事残ってるけど、明日やればいい気がしてきた。
うん、しかたない。
「責任取らせてもらおうかな」
「はぁ? って、ちょ、ま」
ひょいと抱き上げ、そのままソファーに押し倒して。
からころからり。
それ以上、文句言われる前に宝石ひとつ。
「何味だと思う?」
「知るか、離せ、この馬鹿っ」
「舐めればわかるぜ」
舌に乗せて、その口へ。
青はサファイア。
雨の炎と同じ色。
沈静にして沈勇。
けれど、その本質は――
やはり焦熱の情熱。