27 | 理由があるとすれば、そういう季節だから。





『 理由があるとすれば、そういう季節だから。 』





 外は雨。
 室内は湿気。
 どうせ出歩く奴なんていない。
 気晴らしに選ぶなら。
 傘を手に取って。


 嵐には程遠い。
 穏やかな雨音。
 風もない。
 すれ違う人も。
 いないはずなのに。
 水に煙る道の先。
 見慣れた傘。
 それと、


「どっか行く途中?」
「……別に」
「わらび餅買ってきたから一緒に食わね?」
「……どこで」
「あー、どっち行くのも同じくらいだなー」
「……面倒クセェ」
「じゃあ俺ん家な」


 傘が触れて。
 雫が散る。
 いつもよりゆっくり。
 隣を歩く。



 雨を。
 楽しみながら。






× × ×

会えそうな気がしたけど、会うとは思ってなかったり。
会いたいと思っていたけど、会おうとは思ってなかったり。
だから顔を見ると素っ気なくしてしまうという。かわいいじゃないか。