02 | 飢えた羊に狼は毒 | 初代霧×初代大空 | others





○ 注意書き ○

この『 飢えた羊に狼は毒 』は初代の捏造話です。
マフィアボンゴレが組織された最初の頃を舞台にした、起源譚を捏造といった感じです。
復活本編とは一切関係なく妄想しております。

ので、

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『 飢えた羊に狼は毒 』





 ボンゴレマフィア。
 その名が広がり始めた頃の話。
 他のマフィアとの繋がりを構築し始めていた頃。
 この時期がおそらく、一番多忙であったと記憶する。



「おなか減った」
 突然しゃがみ込んだ塊に、後ろを歩いていた霧はつまずきかけながらも、なんとか立ち止まることに成功した。
「あの、ボス?」
「おなか減ってもう歩けなーい」
「歩けないって」
 子どもか。
 いや確かに見た目も言動も幼いけれど。
 それは今だけのことで――
「だっこかおんぶ」
「ボス……」
 それにしたって幼すぎやしないか。
 玄関まであと五メートルもないというのに。
 霧は扉を開けて待機している嵐に、視線で助けを求めた。
 しかし、反応は冷たいもので、
「ボスのご命令だ」
「霧ぃーはやくぅー」
 足元からは力のない声が届いた。
 ちからの、ない?
「わかりました」
 霧は素早くジョットの体をマントで包むように、軽々と抱き上げた。
 その軽さに驚きつつも、屋敷の中へと歩き出す。
 危うく、見逃すところだった。


 巧妙に隠された真実。
 執務室の椅子にそっと降ろして、まず脈と熱を確かめる。
 少し、体温が下がっているか。
 次に問診。
「最後の食事はいつですか」
「霧と食べたマルガリータ?」
「三日前じゃないですか!」
 連日の交渉と会議で忙しく、その時間を作るために彼は睡眠よりも食事を削る傾向があった。
 突然座り込んだのはつまり、貧血だ。
 栄養失調もあるかもしれない。
「パスタ食べたい」
「今、作らせています」
「マント脱がせて」
「はいはい」
 金具を外してマントを取ると、細い体が現れた。
 痛々しいほど。
 いつか心とともに折れてしまうのではないかと、不安になる。
「……時間がなくとも、少しでも、ちゃんと食べてください」
「ボンゴレの地盤を固めるほうが」
「僕には、ジョットの方が大事なんです!」
 抱き上げた時の軽さを思い出して、腕が震えた。
「……じゃあ、今度から、霧と一緒に食べることにする」
「は?」
「霧が一緒なら、忘れないし、安心できるし」
 ふと、計算して言っているのだろうかと考える。
 こんな嬉しいことを。
 けれど、素直にうなずくことはできない。
「……僕がいなくなったら、どうするつもりですか」
 いつ死ぬかわからない世界に住んでいるのだ。
 もしもを考えないわけにはいかない。
「離さないよ」
 幼さを残した顔。
 しかし、向けられる瞳は捕食獣のそれと同じ。
 鋭さを残したまま、柔らかく微笑む、矛盾。
「私だけの守護者なのだから、私が死ぬまで一生、離さないよ」


 ノックの音。
「食事をお持ちしました」
「わーい! おなかぺこぺこー!」
 彼は早くと要求するように、両手で机を叩いた。
 つい数秒前に見せた鋭さはどこへいったのか。
 すでに欠片もない。
 ワゴンを運んできた者は、次々に料理を並べていった。
「おいしそー。いただきまーす!」
「……ちゃんとナプキンを首にかけてください」
「やーん、汚したりしないもん」
「そう言って何枚のシャツを雑巾にしましたか」
「覚えてないし数えてない」
 けらけらと笑う首もとに、広げたナプキンを巻きつける。
 どうせいつものことだ。
 幼稚に振舞うことも、過保護にすることも。
 誰も間に入れないように。
 ねぎらいの言葉とともに部下を部屋から出し、扉を閉めて振り返ると、
「霧も一緒に食べるんでしょ?」
 幼さなどどこにもない、大人びた笑みがあった。
 誰にも見せない本当の姿。
 二人きりのときにだけ現れる、ジョットという名の。


 優越感から浮かびそうになる笑みを抑えて、ハンカチで汚れた口元を拭ってやる。
「一緒にと言われても、食器は一人分しかありませんよ?」
「うん、だから」
 器用にバスタを巻き取り、目の前に差し出された。
「あーん?」
 食べろということか。
 仕方なくフォークの先を口に含む。
 餌付けという言葉が一瞬、脳裏をよぎったが、あえて無視しておく。
「あ、」
「どうしました?」
「間接キッスだ」
 そう言って笑いながら、彼はフォークにキスをした。
 思わず顔が熱くなる。
「そ、そういう、冗談はっ」
「霧はウブだね。そこが可愛らしいんだけど」
「ジョット!」
「ほら、おかわりは?」
 くるくるとフォークを回して。
「……いただきます」
 やっぱり餌付けかもしれない。
 まぁ、それでもいいと思うのは、甘いのだろうか。



 後日談。
 食事をともにするようになって気がついたこと。

「ちゃんと野菜も食べてください!」
「苦いのいや」
「魚を残さない!」
「骨がめんどくさい」
「肉ならいいんですか!?」
「脂っこいのは苦手」
「どうしたら食べるんですか!?」
「霧が食べさせてー」

 食事に関して、とてつもなく世話のかかるということ。
 他の守護者に助けを求めようとも、助けてもらえることはなく。
 哀れむような目で、言われた。
「お気の毒様」
 まったくその通りだと自分でも思うよ。






× × ×

ちゃんとオチてないような……orz

ジョットの「安心できる」は、毒を盛られていたとしても、一緒に死ぬことができるから「安心できる」という意味です。
少しばかりネガティブな考えですが。
十年後のムクツナがこんな感じになってもいいなぁ。