08 | 一日千秋、一週七回





○ 注意書き ○

この『 一日千秋、一週七回 』は、ジョットが自慰とかしちゃってる本番ナシでも間違いなく18禁小説です。

ので、まずは


・実年齢・精神年齢が18歳未満
・男性同士の性的表現が苦手ていうか嫌い
・現実と非現実の違いがわからない

以上に当てはまる方は閲覧を遠慮してください。



18歳以上だしジョスペ大好きだしちょっとぐらいジョットが残念でも大丈夫愛してる!

という方のみどうぞこのまま下へスクロールしてお進みください。





タイトルの意味は、まぁその、最後に深読んでいただければとw





















『 一日千秋、一週七回 』







 こんなにも焦がれてしまうのは。
 果たして己だけなのか。





 ジョットはマントをはずす余裕もなく、倒れるように椅子に腰を下ろした。
 背もたれを軋ませ、長い長い息を吐き出す。
 もう何日寝てないのか。
 いや、寝てはいるのか、疲れが取れないだけで。
 連日の執務続きに、もはや枕の感触すら思い出せない。
 あの甘い声も。
 もう長いこと聞いていない。
 それだけでなく、この一週間、顔すら見ていない。
「会いたいと言えば喜ぶのだろうが……」
 しかし残念なことに、聞かせる相手は任務で遠くに行ってしまっている。
 距離も考えて戻るのは明日以降だろう。
 それまでは。
「やっと一段落着いたというのに……」
 一人寝を強いられてしまうとは。
 背を丸めて机に伏せると、ズボンのポケットに何かが入っている感触がした。
「なんだ……?」
 机に頭を乗せたまま取り出してみる。
 綺麗に折り畳まれたそれは、確か見送りの際に押しつけられたハンカチーフ。
 ――ちゃんとハンカチーフぐらい持っておきなさい、たしなみですよ。
 薔薇のように棘を含んで甘く響く声。
 耳の奥に残って。
 ふと、鼻をかすめた匂いに気づく。
 ガーデニアの、以前に贈った香水の。
「使ってないとか言っていた癖に……」
 ジョットは小さく笑って、ふと、香水のふりかけられただろう肌を想像した。
 柔らかく滑らかな。
 最後に刻みつけた痕はもう消えてしまっただろうか。
 白と赤のコントラストに飾られて。
 濡れて悶える甘美な姿。
「デイモン……」
 その名を音にすると、さらに恋しさが募って。
 ジョットはハンカチーフを鼻に当てながら、片手で自身を取り出した。
 震える細い指、ぎこちない舌。
 自分の手では若干物足りないと感じつつ。
 徐々に、熱を増して。
 閉じた眼裏に浮かぶのは、熱に浮かされた蒼い瞳。
 見つめて。
 触れて。
 抱きしめたい。
 熱が、完全に消えてしまう前に。
「ジョット、今戻りました。入りますよ」
「――っ」
 不意に鼓膜を震わせた音に、白濁が手の中に散った。
 詰めていた息をゆっくりと吐き出し、椅子の背に体重を預ける。
 見遣ると、入ってきた者は後ろ手に扉を閉めた状態のまま、身を硬直させていた。
 唇が震えているが、音は聞こえてこない。
 ジョットはそれをおかしく思いながら、穏やかに微笑みかけた。
「よく戻ったな、早かったじゃないか、デイモン?」
 名を呼ばれたことにびくりと肩を震わせ、一歩引いたせいで背中が扉に当たる。
 何を考えているのか。
 おそらくは懸命に状況を把握しようとしているのだろう。
 けれど理解するほどに混乱を招き。
 こちらに向けつつも一点に留まることのない視線。
 わずかに赤みを帯びた頬。
 胸の前で固く握りしめられた両手。
 すべてを愛おしく見守りながら、ハンカチーフをまとわせたままの手を差し伸べてみる。
「おいで、デイモン、抱きしめさせてくれ」
 そうすると、案の定、放心したままふらふらと歩み寄ってきた。
 ハンカチーフごと白い手を握って引き寄せ、立ち上がりながら机の上に押し倒す。
 いまだ焦点の合っていない瞳が怯えるように震えて。
 それが誘うように、妖しく、愛らしくて。
 呼気に、熱がこもる。
「……俺に会いたくて早く戻ってきたのか?」
 ゆるりと首を振る。
 否定する程度に理性は残っているらしい。
 ならば。
 ジョットは右手の中に残したままのそれを、手の平を押し当てるようにしてデイモンの頬に塗りつけた。
 伝い落ちようとする白濁ごと、親指を薄く開かれた唇の隙間にねじ込む。
 こくり、と喉が上下して。
 途端、目が覚めたように蒼い瞳の焦点が合い。
 まばたきと、短い呼吸。
 デイモンは自由な方の手を振り上げると、思いっきり平手打ちを喰らわせた。
「なんっ、なにっ、何するんですかっ!?」
「痛い」
 冷静に文句をつけるジョットの頬を、返す手でもう一度叩く。
「ていうか何してるんですかっ!?」
「自慰?」
「――っ」
 見開かれた目は一瞬にして水気と赤みを増し。
「不潔です! 最低っ、甲斐性なし!」
「まさかデイモンお前……自分でしたこと、ないのか?」
「当然でしょうっ!?」
「それは興味深いな……」
 呟きつつ、舌先で唇を湿らせる。
 こちらの思惑を感じ取ったのか、デイモンは慌てて逃げ出そうと身を起こした。
 その動きを逆手に取って。
 腕を引き、背中から抱きしめ、そのまま椅子へと腰を降ろす。
「きゃ、わっ!?」
 くるりと世界が回って。
 あっという間に、デイモンはジョットの足の間に座らされていた。
 きつく抱き寄せながら、一週間振りの感触を堪能する。
 うなじから耳の裏側へ唇を這わせて。
 甘い、花の。
 清楚にも、体臭と混ざって蠱惑的に香る。
「……やはり、見立て通りだな」
「んっ……何の話、ですか?」
「香水、つけてくれているようだな」
「こ、これは」
「つけたのは首だけか?」
「やっ」
 すっかり薄くなった痕の上に新しい花を咲かせつつ、香りを探して首から肩へと唇を落としていく。
 一方でシャツの中に両手を忍び込ませ、平らな胸を揉みしだく。
「ちょっ、やめっ、んっ、離しなさい!」
 愛を込めて揉めば大きくなると聞いていたが、やはり性別の問題か、一向に膨らむ気配はない。
 多少、性感帯を開発できたぐらいか。
 指先で小さな実をつまみ上げる度に、細かく体を震わせて。
「ジョットっ、やぁっ」
 甘い甘い声で鳴く。
「可愛いな……」
「んっ、うるさっ」
「デイモン、こっちを向け」
 深い蒼に縁どられた目尻に、同じく蒼の宝石が引き寄せられ。
 躊躇うようにわずかに伏せた後、デイモンは腕の中で上体をひねって、こちらのキスを受け入れた。
 舌先を絡ませながら、ちらと見下ろした先には。
 思惑通り。
 内心で意地悪く笑いつつ、ジョットはシャツから抜き出した手をデイモンの脚へと伸ばした。
 そして。
「よっ、と」
「きゃああっ!?」
 無理やりに脚を持ち上げて、肘掛けへと膝を乗せてやる。
 そうすると、見事に大股を開いた状態になった。
「なん、なに、何ですかっ!?」
「いい機会だから教えといてやろうと思って」
「何をっ」
 椅子からずり落ちないように必死にしがみついてくる恋人を大層可愛く思いながら。
 腰に片腕を回してしっかりと支えつつ。
 ジョットは至極楽しそうな声音で答えた。
「自慰」
「――っ」
 声にもならない悲鳴をさらりと無視し、手際よくズボンの前をくつろげてやる。
 薄い下着は濡れてこそいないが、少し窮屈そうに持ち上げられていた。
 まだキスと愛撫しかしていないというのに。
 それはデイモンも自覚していたのか、首まで真っ赤に染めて俯いてしまった。
 くつくつと笑いながらデイモンの手をそっと掴み、それを下着の上へと導いてやる。
「ではまず、下着から出してみようか?」
「なっ、で、できるわけ、ないでしょうっ」
「そうか?」
「ひぁっ」
 デイモンの手でもって、下着の上からさらりと撫でる。
「俺に触れられるのとはまた違った感覚だろう」
「そんな、わ、わかりませんっ……」
 首を振る度に見え隠れするうなじに口づけ。
「だったらわかるまで続けるとしよう」
「や、ぁっ」
 手を重ねたままゆっくりと、揉んだりさすったりと動かしてやる。
「んっ……ふあ……ぁっ」
 緩やかな刺激と。
 それでは満足できない劣情と。
 手の中の熱が布を湿らし始めた頃合いを見計らって。
 ジョットはデイモンの手を、さらに下着の中へと導いた。
「んんっ、やぁ……」
 自身を掴ませ、下着をずらしながら取り出す。
「嫌という割には、だな」
「ち、違っあぁっ」
 ややきつめに握りしめて上下に擦ると、腕の中の体は面白いほど痙攣してみせた。
 溢れた雫が指先へとこぼれ落ちて。
 それを塗りつけるように、さらにゆっくりと手を動かす。
 先のくぼみや、弱い箇所に指先をもっていくよう促しつつ。
「は、ぁ……んっ……」
 艶っぽい吐息。
 おそらくはスイッチの入っただろう気配に、ジョットは悟られないように手を離した。
 邪魔にならないように回した腕で身体を支えてやり、甘い香りを楽しみながら。
 その視線にも下心にも気づかず。
 デイモンは敏感な箇所を探して、細い指を自身に這わせた。
「やぁ……ジョットぉ……っ」
「気持ちイイか?」
「ん……っ」
 頷いたのか震わせたのか。
 いつもジョットがするようにくぼみに指先を立てて。
「ふぁ、あっ……ジョット、ジョットぉ、もぉっ……」
 無意識にスポットばかりを刺激して。
 性急なほど強引に扱いて。
「ぃ、イっ、――っ!」
 支える腕にしがみつきながら背を丸めて、デイモンは自分の手の中に精を吐き出した。
 少しの間、痙攣を繰り返して。
「っはぁ……ぁ、ん……」
 こわばった身から力が抜けてゆく。
 そのタイミングで、ジョットは声音も楽しそうに問うた。
「どうだ? 初めての自慰の感想は」
「んー……?」
 余韻に潤む目が、己の手を見下ろし。
 一瞬動きが固まって。
 理解と共に。
「――や、ぃやああっ!?」
 デイモンは一気に大粒の涙を双眼からこぼし始めた。
 慌てて振り落とそうとする手を掴んで、白濁へと舌を這わせる。
「やだっ、ジョット、いやあっ」
「初めてにしては上出来だったぞ」
「やですっ、こんなっ、汚いっ」
「汚いものか、充分に魅力的だったぞ?」
 一滴も残さず舐め取ってから、それをそのまま咥内に流し込んでやる。
「んんっ、ふぁ、んぅうっ」
 嫌がる舌を絡め取って。
 唾液と共に。
 そらせた喉が、嚥下する音。
「……ほら、うまいだろう?」
 糸を引いて離れつつ問うと、デイモンは両手で涙と唾液を拭いつつ、首を横に振った。
「……ぃしくなんか、ないです……っ」
 その手を掴んで離し、代わりに持っていたハンカチーフで綺麗に拭いてやる。
 仕上げに、閉じた瞼の上にキスを落として。
 ジョットは両腕で包み込むようにデイモンをきつく抱きしめた。
 何度味わっても飽きることのない熱と感触。
 愛おしい。
 恋しい。
 残り香などでは到底満足できそうにない。
 こうして腕の中に閉じ込めて、堪能して、初めて落ち着く感情。
 デイモンはしばらくもがいていたが、やがて脱出をあきらめたのか、力を抜いて身を預けてきた。
 短く笑い、さらに腕に力を込める。
 触れるだけのキスと。
「デイモン、愛してる」
 睦言を捧げると。
 腕の中でため息の気配がして。
「私は大嫌いです」
「心外だな」
「いつもいつも私の嫌がることばかりして」
「好きな子ほど泣かせたいという心理だ」
「んー、本気で嫌われますよ」
「俺なりの愛情表現だ」
「最悪ですね」
「愛してるぞ、デイモン」
「……貴方なんか」
 続く言葉をキスの中に呟いて。
 デイモンはわずかに紅潮した頬を隠すように顔をそむけてしまった。
 その可愛らしさといったら。
「って、ちょっ、こらジョット! まだする気ですかやめなさい離せ馬鹿!」
「まだ一週間分全部ヌいてないんだ最後までヤらせろ」
「こっ、言葉を慎みなさい! それにまだ仕事中でしょう!?」
「残りはGがなんとかしてくれる」
「怒られますよ!」
「大丈夫だ、とうに覚悟している」
「怒られる覚悟をですかっ!?」
「安心しろ、ちゃんとベッドまでは我慢するから」
「当然です! って、そうでなくて私が言いたっ、きゃ、わあっ!?」
 素早く身なりを整え、横向きに抱き寄せて立ち上がる。
 デイモンが一番嫌う「お姫様だっこ」というやつだ。
 案の定、離せ降ろせと叫び暴れる身体を難なく運びつつ。
 ジョットは、いっそ無邪気とすら受け止められそうな、笑顔を見せて言い放った。
「一週間分だ、一回や二回で済むとは思うなよ?」
「――っ」
 悲鳴すらあげられず唖然と開かれた口を塞いで。
 ジョットは飄々とデイモンを抱えたまま仕事の残った執務室を後にした。




 恋焦がれて止まない想いを。
 この身をもって伝えるために。







× × ×

オチ?なにそれおいしいの?

最初はこのまま執務室で至ろうかと考えていたんですけど
なんか途中でものすごく良いムードになってしまったので
邪魔が入らない場所に移動しての続行と相成りまして候。

続き?それはいつでもあなたの心の中に!