18 | kiddin' kitty








○ 注意書き ○


この『 kiddin' kitty 』は、
スペたんが猫耳猫尻尾の半獣状態になって淫乱にジョットに迫っていく
という内容の18禁小説です。





ということで、


・実年齢・精神年齢が18歳未満
・男性同士の性的表現が苦手ていうか嫌い
・現実と非現実の違いがわからない


以上に当てはまる方はこのウィンドウもしくはタブを閉じてください。









18歳以上だし猫耳にこの上ない萌えを感じます(`・ω・´)霧ッ

という方のみどうぞこのまま下へスクロールしてお進みください。




















『 kiddin' kitty 』







「ここがトンデモ展開の許される世界で助かったな、デイモン」
 突然現れた珍しい毛色の猫を抱き上げ、ジョットは愛おしげに目を細めた。
 猫は状況が理解できていないのか、しきりに蒼い水晶を動かしている。
 驚きに逆立った毛を落ち着かせるように、優しくその背を撫でて。
 まるで絹のような手触りを堪能しつつ、ジョットは困ったように眉尻を下げた。
「問題は、どうすれば元に戻るか、だな」
「俺にとっちゃどうしてそうなったかも問題なんだがな」
 一部始終を目撃していたGは痛む頭を押さえながら冷静に忠言した。


 事の発端はアラウディから届いた小さな箱。
 箱に触れるなり直感で何かを感じ取ったのだろう、ジョットはデイモンを呼んで来させた。
 文句を垂れつつもデイモンは手渡された箱を開けて。
 白煙。
 小さな悲鳴。
 そして、煙が晴れると――


「まさか猫になってるとはな」
 声音は困っているようにも聞こえるが、その様子に動揺はない。
 こいつ楽しんでやがるな。
 そう思ったけれど、Gはあえて黙っておいた。
「さて、幸いなことにアラウディが文を同封してくれている」
「つかそれ先に読めよ」
「読み上げるぞ、ヒントがあるかもしれん」
 綺麗に折り畳まれていた書簡を広げ、ジョットはよく通る声でそれを読み上げた。

『この手紙を読んでるということは、もう箱を開けちゃったんだろうね。』

「おぉ、さすがアラウディだな」
「簡単に行動読まれてんじゃねぇよ」

『ボスが容易に開けるとは思えないし、どうせD・スペードにでも開けさせたんだろうね(笑)』

「おい本当に(笑)とか書いてんのか」
「うむ」
「うわ、マジかよ」

『とりあえず時間が経てば解ける呪いだから猫ライフを楽しんでよ、D・スペード?』

「ん、んみゃー!?」
「よしよし怒るな怒るな」

『もしかしたら、というのがあるけど、確証がないから書かないでおくよ。
 まぁひとつ忠告しておくとすれば、ボスはD・スペードが可愛いなら他人に任せたり放置しないことだね。
 それじゃ、幸多からんことを(爆)』

「おい最後爆笑してるぞアイツ」
「んみゃー!!」
 書簡を机の上に落とすと、すかさず猫もジョットの腕から飛び降りて、書簡に猫パンチを喰らわせた。
 尻尾を大きく膨らませている様子を見ると、かなり頭にきているらしい。
 何度か肉球で叩いた後、喉を唸らせながらもその場に身を伏せた。
「で? どうすんだよ」
「まぁとりあえずこんな可愛いデイモンを他人に触らせたくはないからな、忠告通り、元に戻るまでそばに置いておくさ」
「みゃ!?」
 形の良い耳がぴんと立つ。
「なんだ、俺と一緒にいるのは嫌か?」
「みゃう……」
「嫌なら引っ掻くなり意思表示してくれて構わないんだぞ?」
 そう言って手を差し伸べてみると、猫は少し躊躇った後に、
「んみゅ……」
 その指先を小さな舌でぺろぺろと舐めてみせた。
「――っデイモン!」
 ジョットは素早く猫を抱き上げ、きつく懐に閉じ込めた。
「みぎゃー!!」
「おい潰れるぞ」
「可愛い柔らかい抱き心地最高だなさすがだデイモン愛してるぞ!」
「みぎゃー!!」
「こうしてみるとただの愛猫家だな、よし放置決定」
 常よりはいくぶんかマシだろうと判断し、Gはそそくさと執務室を出ていってしまった。
 それすら気づかずに、ジョットはさらにきつく猫を抱きしめていた。
「可愛い可愛いはすはす!」
「みぎゃー!!」





「ということで、」
「見事なひっかき傷でござるなぁ」
「栄誉の負傷だ」
「んみゃ!」
 違うと訴える鳴き声に、雨月はくすくすと笑い声をこぼした。
「話を聞いたときはまさかと思ったが、真に猫になってしまわれたのだな」
 机の上に座る猫に手を伸ばすと、すり、と頭を寄せてきた。
「こら、俺以外に懐くな」
「んみゃっ」
 貴方には関係ないでしょう、とばかりにそっぽ向かれる。
「お前という奴は……」
「ジョットも大変でござるなぁ」
「まぁこの素っ気ない所も愛おしいからな」
「惚気でござるなぁ」
「それより、頼んだものは?」
「しかと」
 雨月は袂に手を入れると、編み目の細かいレースのリボンを取り出した。
「これはもしや、デイモンに?」
「みゃっ!?」
「あぁ、万にひとつもないと思うが、野良と間違われんよう念のためな」
「んみゃ、みゃあっ」
 抵抗の甲斐なく、あっと言う間にリボンの首輪を結ばれてしまった。
 嫌々と首を振る度に、小さな銀色の鈴がチリリと鳴る。
 それを見て、ジョットは嬉しそうに微笑んだ。
「やはり銀にして正解だな、お前の毛並みによく映える」
「んー、んー」
「よく似合ってるぞ」
「んみゃ……」
 そう評されるのはまんざら悪いわけでもないらしく。
 猫はジョットの膝元に飛び降りると、身を丸くして目を閉じた。
「……ほだされるのが早いでござるなぁ」
「可愛いなぁデイモンは可愛いなぁ」



「猫メシできたぞ猫メシ」
「ん、わざわざすまんな」
 室内に入ってきたおいしそうな匂いに、ジョットの膝元でうたた寝していた猫はぴんと背を伸ばした。
 鼻をひくつかせながら匂いの元を探す。
「こっちがお前用で、こっちが猫用だ」
「んみゅう」
「何か違うのか?」
「こっちはかなり薄味に作ってる」
「薄味に?」
「猫っつーのはあんま塩辛いの食わせたらいけねぇんだと」
「そうなのか」
 猫は机に飛び移って並べられた皿の周りを徘徊したかと思うと、ジョットの近くに腰を落ち着かせた。
「なんだ、食わねぇのかよ」
「んみゃあ」
 ふるふると首を振って、前足でスプーンを叩く。
 その意図がわからず眉間を皺寄せていると、ジョットが短く手を鳴らした。
「つまり、猫食いはプライドが許さんと」
「んみゅ」
 大きく頷いて見せる。
 たとえ猫に姿を変えようとプライドの高さは同じということか。
 面倒クセェなぁと内心ぼやきつつ、Gは、じゃあ、と問うた。
「どうやって食うんだよ」
「……まぁ、こうだろうな」
 ジョットはスプーンを取って猫用のスープをすくうと、何度も吹いて充分に熱を冷ましてから、黒い鼻先に近付けてみた。
 皿から直接食べるのが嫌だというのなら。
 猫は少しだけ舐めて温度を確かめてから、小さな口を開けたままジョットを見上げた。
 ゆっくりと、少しずつ、スープを注ぎ入れる。
 三角形の耳をぴこぴこと動かして。
 猫はスープを飲み下すと、もっと、と要求するように尻尾で机を叩いた。
「……食わせてもらうのはいいのかよ」
「デイモンなりの妥協点だろう」
「んみゃ」



「はー、やっぱり風呂は落ち着くなぁ」
「んーなー」
 最初は嫌がっていたものの、一度湯船に浸かってしまうと、猫はあきらめたように四肢を弛緩させた。
 ジョットの腕に抱えられたまま、ぐるぐると喉を鳴らせる。
「しかし綺麗な毛並みだな」
「んみゃー」
 ブラシで丁寧に背中を梳いてやる。
 気持ちいいのだろう、猫は幸せそうに目を閉じた。
 時折耳を動かして水滴を飛ばしつつも、大人しくブラッシングを受け入れている。
 それを愛おしげに眺めて。
「そういえば……」
「んにゅ?」
 ジョットは思いつくままに、前足の付け根を掴むようにして猫を持ち上げてみた。
 腹の部分はやや色素の薄い毛で覆われている。
 それを左右の親指で器用に分けつつ。
「猫に乳首ってないのか?」
「み、みぎゃー!!」
 派手な水音と水柱。
「すごい鳴き声が響いてきたが、大事ないでござるか?」
 扉の影から顔を覗かせた雨月に、ジョットは片手を挙げて応えてみせた。
「あ、あぁ、大丈夫だ」
「おやおや……」
 くすくすと袖の下で笑って。
「見事なひっかき傷でござるなぁ」
 雨月はタオルで包むようにして、床で毛を逆立てていた猫を拾い上げた。
「あ、待て、連れて行くな」
 慌てて湯船から出て、タオルごと猫を奪い取る。
「まだ洗ってなかったでござるか?」
「いや、アラウディからの忠告でな、なるべく俺から離したくない」
「そうでござったか」
「いや、気にするな、大半は俺の欲だ」
 丁寧に抱え直し、濡れた毛並みを拭いてやる。
「すまなかったな、デイモン」
「……んみゅ」
 猫はわずかに首を伸ばすと、ジョットの手を舐めた。
「――っ可愛いなぁ!」
「みぎゃー!!」
「早く服を着ねば風邪をひくでござるよー」





 いつの間にか、どっぷり夜も更けて。
「結局、一日では元に戻らなかったな」
 ベッドに大判のクッションを持ち込み、そこに猫を乗せてやる。
 猫は何度か足踏みした後に、その中央で身を丸くした。
 蒼い毛並みを丁寧に撫で梳いて。
「まぁ、明日になったら何かが変わるかもしれんしな」
「んなー」
 指で顎の下をくすぐると、ぐるぐると喉を鳴らせた。
 それを見て、自然と表情が緩んでしまう。
 まさか猫になったデイモンがここまで愛くるしいとは。
 ヒステリックな罵倒を聞けないのは少しさみしくもあるが、普段より素直に甘えてくれるのは嬉しい。
 常とは違う柔らかな手触りも心地よい。
 乳首の有無はわからないままだが。
「しかしまぁ、猫相手に欲情も何もないよなぁ」
 笑いながら枕に頭を落とすと、猫がクッションから降りて肩口に身を寄せてきた。
「そこで寝るのか?」
「んー」
 頬に尻尾が触れてくすぐったいけれど。
 ジョットは猫の頭を優しく撫でて、
「キスで呪いが解けるものならなぁ」
 おやすみの挨拶の代わりに、小さな口許に唇で軽く触れた。

 途端。

「――っ!?」
 硝煙に似た匂いの煙に包まれた。
 敵襲かと身構えるより早く、両肩をベッドに押さえつけられてしまう。
 デイモンは。
 守らねば。
「はっ、なせっ!」
 拘束する腕を掴み、引き寄せ、逆に押し倒したところで、唐突に煙が晴れた。
「…………は?」
 不覚にも思考が停止してしまう。
 この手首の細さ。
 あるいは体臭の甘さ。
 シーツに流れる髪も、真白い四肢も。
 何度も抱きしめ、愛したもの。
 そう。
 今、目の前にいるのは――
「デイ……モン……?」
 蒼眼にはすでに涙が満たされ、頬は艶やかな紅に染まっていた。
「ジョット……っ」
「――っすまん」
 慌てて離そうとした手首を再び掴まれ、天地が反転する。
 煙に包まれたときと同じ。
 デイモンはジョットをベッドに押さえつけ、その首筋に唇を落とした。
「ジョット……ジョッ、トぉ……っ」
 甘く鼻にかけた声で求めて。
 乳を探す仔のように唇を這わせて。
 太腿に擦りつけられる股間はすでに固くなっていて。
 あまりに予想外の展開に呆然としていたジョットは、はたと我に返ると、デイモンの肩を掴んで押し離した。
「待て、待ってくれ、少し、落ち着いてくれ」
 話しかけているようで自分にも言い聞かせつつ。
 ジョットは嫌々と首を振るデイモンをよく観察した。
 これは見紛うはずもなく、デイモン本人だ。
 しかし、その左右の側頭部には見慣れないものがついていた。
 いや、今日一日で随分と見慣れたもの、と言った方が的確か。
「んー、ジョットぉ……」
「――っ!?」
 するりと脚を撫でた気配に視線を向けると、見事な毛艶の尻尾が誘うように絡められていた。
 猫の耳に猫の尻尾。
 それが、デイモンの身に生えている。
 まさか幻覚か。
 いや、幻覚ならば見抜けるはず。
 おそるおそる蒼色の尻尾へと手を伸ばし、そっと触れた瞬間。
「んにゃあぁっ」
 思考を鈍らせる嬌声が落ちてきた。
 驚きに硬直した腕に、長い尻尾が器用に絡まってくる。
 デイモンは余韻に身を震わせながら、嬉しそうに目を細めた。
「ジョット、もっとぉ……」
 さらにキスしようとするのを慌てて制し、とにかく状況の把握を試みる。
 一体全体どういうことだ。
 これがあの猫だったデイモンであることは、首に絡まったままのレースのリボンが物語っている。
 しかし、完全ではないにしろ人間に戻った途端に、なぜ、どうして。
 ――まさか。
「デイモンお前、発情してるのか……?」
 震える問いかけに対し、デイモンは切なげに眉根を寄せたまま、甘く言葉を紡いだ。
「ジョットのぉ、みるく……くださぃ……」


 頭の隅のほうで小さく、糸の切れた音が聞こえた気がした。


「――っ、デイモン!」
「やぁあんっ、んんぅっ」
 しなやかな裸体をシーツに縫い止め、その唇にかぶりつく。
「ん、ふっ、ひぉっ、んんっ」
 何か喋ろうとする舌に噛みつき、絡め、何度も深く貪って。
 溢れる唾液が呼吸を遮っても。
 息苦しさに感じる眩暈さえ、身をとろけさせるようで。
 酸欠に首の後ろが痺れてきたところで、ジョットはようやく唇を離した。
「ふぁ……やぁ、もっとぉ……」
 伸ばされた腕ごと抱き寄せ、再びデイモンが上となるようにベッドの上で身を返す。
「んっ……んぅ……」
 それを幸いと、デイモンはジョットの上に四つん這いになって、何度も唇に吸いついてきた。
 常ならばありえない、一方的すぎる行為。
 媚薬を盛ったときでさえ、ここまで積極的に触れてくることはなかった。
 何かがおかしいと確かに感じつつも、しかしこんなおもしろいことを拒否する理由もない。
 むしろ、これはこれでアリだと言えよう。
 ジョットは声に出さず笑い、レースのリボンを結び直してやってから、優しくその肩を押しやった。
「ん、やだぁ……」
「まぁ待て、クチばかり吸ってもミルクは出てこないぞ?」
「んー……」
 そのまま肩を押しながら起き上がり、親指の腹で口端の唾液を拭ってやる。
 不服そうにしながらも大人しく太腿の上に腰を降ろしたのを見て、つい表情が緩んでしまう。
 女性ほど柔らかくないが、臀部を押しつけられる感触はなかなかに気持ちいい。
 ご褒美に軽く唇をついばんで。
「さて、ミルクが欲しいんだったな?」
 わずかに三角形の耳を寝かせて、こくりと頷く。
「じゃあ、ナニをどうするべきか……わかるな?」
 またたきの間に、蒼い水晶に期待の色を宿して。
 恥ずかしそうに顔を背けつつも、横目にこちらを窺って、デイモンは甘く言葉を紡いだ。
「ジョットの……――を、舐めたい、です……」
「――っ」
 声が小さく不明瞭だったけれど、その唇の動きは、その単語は、絶対にデイモンの口からは聞けないもので。
 それだけで反応する自身もどうかと思ったが。
 ジョットはもはや我慢できず、自分から下着をずらして、すでに固くなっている逸物を取り出した。
「ぁっ……」
 嬉しそうな声が漏れ出た口を、デイモンは慌てて手で押さえた。
 それぐらいの羞恥心は残っているらしい。
 触れてもいいのか迷っているデイモンを抱き寄せ、ジョットは耳元で優しく囁いた。
「シたいようにシて、いいんだぞ……?」
「ジョット……」
 ゆるりと長い尻尾を揺らしたかと思うと。
 デイモンは身を屈めて、その先端にキスを落とした。
 そして唇を押し当てるままに、入るところまで咥内に含んでしまう。
「んっ、んぅ……ふ、ぁ……っ」
 丁寧に舌を絡め、あるいは隙間に差し込んで。
 そのすべてを味わうかのように。
 グロテスクなモノが形の整った唇と触れ合う様は、えも言えず淫らで。
 ふと目が合うと艶っぽく細めて、咥えたまま微笑んだ。
「ひぉ、の……おいひぃ……」
「おまっ」
「んふふっ、んっ」
「この……」
 どうにか仕返ししてやろうと考えた視界に、悠然と揺れる尻尾がひとつ。
 ジョットはそれを掴まえると、やや強引に引っ張った。
「んふぁっ、あっ!?」
「ほぅ、これにも感覚があるようだな?」
「ひっぱるの、だめぇっ」
「では、かじってみようか」
「ひぇっ」
 怯えて腕に巻きつく尻尾の先を。
「あっ、やっ、やめっ」
 きつく噛んだのと同時に。
「やぁあああっ!」
 デイモンは小刻みに腰を震わせながら、白濁を撒き散らせた。
 絡んでいた尻尾がゆっくりとほどけて。
 ふわり、真白い背中に落ちていった。
「はぁ……あ、ん……」
「デイモン、お前が先に達してどうする」
 震える耳を撫でて顔を上向かせると、デイモンは泣きそうに瞳を揺らせた。
「す、すみません……」
「怒ってなどいない」
 そのまま髪から頬、首のリボンへと手を滑らせて。
 ジョットは心から愛おしげに微笑んで、言葉を紡いだ。
「単に、そう、ひどく可愛いと思っただけだ」
「ジョット……」
「続けられるか?」
 いつも以上に優しい問いかけに頷き、デイモンは再びジョットのものを口に含んだ。
 己のできる限りを尽くして、懸命に愛撫を続ける。
「本当に……可愛いな……」
 クスクスと笑って己の指を舌で湿らせる。
 そして、尻尾の付け根よりさらに下の、小さなすぼまりへと腕を伸ばした。
「んっ……」
 かすかな震えに首許の鈴が、リリン、と鳴る。
 けれどデイモンは嫌がる素振りも見せず、むしろ尻尾を絡ませてジョットの腕をさらに導いてみせた。
 その求めに応じて、ジョットはゆっくりと指を差し込んだ。
「ふっ……んぅ……っ」
 埋めたまま内壁を引っ掻き。あるいは押し拡げて。
 敏感なところを掠めると、絡められた尻尾にきつく腕を絞められた。
 それが楽しくて、さらに深い箇所へと犯し進めていく。
「……はぁっ、あんっ……ひぉ……っ」
「気持ちいいか?」
「んんっ、んっく……ぅっ!?」
 どうやら尻尾の付け根から敏感になっているらしく。
 指でなぞったり握ったりするだけで、面白いぐらい身を跳ねさせた。
 本当なら身を丸めて嬌声をあげたいだろうに。
 絡む舌の震えが、さらにジョットを煽って。
「んっ……デイモン、そろそろ……っ」
「は、くぅん……、んっ、ん」
「残さず、飲めよ……っ!」
「――っ!!」
 頭を押さえられたのを合図にそれを咥内深く飲み込むと、デイモンは喉の奥で白濁を受け止めた。
 ジョットの震えが落ち着くまで待って、ゆっくりと、唇をすぼめたまま逸物を抜き出す。
 痰が絡んだような違和感と。
 苦い味と、雄臭い匂い。
 全部、嚥下して。
 手で扱きながら残りも吸い出し、さらに愛撫しようとするのを、
「待て待て」
 ジョットは抱き上げるようにして引き剥がした。
「俺ばかり悦くなってもつまらんだろう」
「んやぁ、もっとみるくぅ」
 嫌々と鈴を鳴らす、この猫の可愛さ。
 一体何がどうすればこうなるというのか。
 というかコレを一体どうしたものか。
 今さらながら冷静さを取り戻してきたジョットに、デイモンは軽く頬を膨らませて。
「じゃあ……」
 肩を掴む手から逃れるように背中を向け、うつ伏せのまま高く腰を上げた。
「で、デイモン?」
 驚くジョットの目の前で。
 自らの指でもって、後口を拡げて、乞うた。
「こっちにみるく……飲ませて……?」


 理性が吹き飛ぶなんていうレベルではない。


「ふぁっ、あぁああっ」
 気づけば、その背に覆い被さっていた。
「んっ、にゃあぁっ、はげしぃ、ぃっ」
 ガクガクと揺れる腰を掴まえて、さらに深く激しく打ちつける。
 背後から薄い耳に噛みつくと、小刻みに震えて尻尾を絡めてきた。
「ジぉっ、まって、おねひゃ、あぁあんっ」
「はっ、欲しがったのはお前だろう、デイモン?」
「らめぇっ、ひんっ、んにゃぁあっ」
 うなじに、首の付け根に、背中に赤い花弁を散らせて。
 腕に絡まる尻尾にも唇を這わせて。
「そういえば、こっちに触れてやってなかったな」
「きゃあっ、あぁんっ」
 両手で薄い胸板をわし掴み、人差し指と中指で小さな実を挟んで転がす。
「やぁんっ、むねはっ、らめぇっ」
「なぜだ? いつも、喜ぶだろうっ?」
「いっしょに、ったら、きもちぃくてっ」
「イキそうか?」
「んぁあっ、んっ、にゃあぁっ」
 閉じられない口から舌を放り出して、何度も、何度も頷く。
 それが本当に可愛くて、可愛くて。
 横向きに伏せられた耳に唇を寄せ、最後に一つだけ問う。
「どこに……欲しい?」
「んにゃぁああっ」
 熱い吐息に震えつつも、デイモンは回らない舌で答えた。
「なかぁっ、なかにぃ、たくさんっ、くらひゃぁあっ」
「何を?」
「みるくっ、じょっとのぉっ、みっ、みるくぅっ!」
 は、と短い笑いを落として。
「ご褒美だ」
「んぁっ、ぃっ、ひにゃあああぁあっ!!」
 すっかり皺の寄ったシーツに頬を押しつけて。
 デイモンは体の中に、熱い白濁をすべて受け入れた。
 脱力するまま蛙のようにへたり込む。
「やぁ……」
 そのせいで抜けてしまったジョット自身を再度受け入れようとしても、体が思うように動かない。
 腕を伸ばしたいのに、持ち上がらなくて泣きそうになっているのに気付いたのか。
 ジョットは細い腕を引いてデイモンを仰向けにすると、
「挿れるぞ?」
「んっ……」
 萎えることを知らない自身で、再びデイモンを貫いた。
 何度か挿抜して痙攣が収まっているのを確認してから、腕を掴んだまま仰向けに倒れ込み、騎乗位へと移行する。
「ふぁあっ……ふかぃ、んっ……」
「動けるか?」
 頷いたのか、俯いたのか。
 両手同士を繋いで。
 離れないよう指を絡めて。
 デイモンはゆっくりと、腰を動かし始めた。
「んっ、あぁっ……は、ぁんっ……っ」
 短いストロークで、深い箇所を何度も行き来させる。
 淫猥な水音に鈴の音が重なって。
 背筋から痺れていくような。
 赤く腫れた目許から雫をこぼして。
 震える喉で。
「ジョットぉ……すき、らいすきぃ……っ」
「っお前はどうしてそう、俺を煽ろうとする……!」
「ヌフフ……ねぇ、もっと……あいしてっ、みせてぇ……っ」
「こ、のっ」
「ぐちゃぐちゃにして、わたしをっ、ぜんぶ―――」
 掠れた囁き。
「―――、シテ……?」
 眉尻を下げて。
 儚げに。
 泣き疲れた笑みを浮かべるから。
 次の瞬間には、きつく、その身を腕の中に閉じ込めていた。
「んっ、ふ、んぅっ」
 唇を重ね、舌を絡め。
 深く深くに噛みついたまま。
「んあぁあっ!?」
 ジョットは下から腰を突き上げた。
「あっ、あぁっ、ぃっ、ジぉっ、んんっ」
 睫毛が絡むほど間近に、琥珀でもって蒼珠を射て。
 耳ごと頭を押さえつけて喘ぎ声すら喰らって。
 尻尾ごと腰を掴まえて穿つほどに。
 甘く、甘く。
「ジョット、ジョット、も、ィっひゃう!」
「もう少しっ、粘れっ」
「むりぃっ、くるひっ、んんぅっ」
 下から背骨が溶けていくようで。
 感覚が狂う。
 眩暈。
 あぁ、このまま。
 肉体も精神もなくして。
 一緒になってしまえたら――
「デイモンっ、デイモンっ」
「にゃあっ、あっ、んっく、ふぁあっ」
「出すぞ、中に、いいなっ?」
「はやぅっ、ィっ、らひてぇっ!」
「くっ―――!!」
 びくりと大きく跳ねると共に。
「んにゃああぁああっ!!」
 のけ反ろうとした身を羽交い絞めにしたまま、ジョットは最奥へと精を放った。


 きつく抱きしめたまま、デイモンの痙攣が収まるまでじっと待つ。
 それから、ジョットはゆっくりと自身を引き抜いた。
「ひんっ……ん……っ」
 閉じられた瞼の代わりに、蒼い耳が前後に震える。
 小さく笑ってシーツの上へ寝かせ、耳ごと髪を優しく撫でつける。
 手の平をくすぐる感触と、眠りに落ちた呼吸。
 ジョットはやれやれと息を吐いた。
「とんだ発情期もあったものだな」
 求められることに悪い気はしなかったけれど。
「あの顔は反則だろう」
 時に壊しそうなほど愛してしまう自分に。
 壊れそうなほど儚い微笑みを向けて。
「……デイモン、愛している」
 聞く相手のいない呟きと。
 なぜだか離せないでいる手首に、そっと、唇で触れて。










 翌朝、目が覚めると。
 先に起きていたらしい恋人の頭頂部にも臀部にも猫の名残りは一切なく。
 残っていたのは、うっかり後処理を忘れたせいで襲いかかった腹痛だけで。
「んー、最悪です……いつもは、きちんとする癖に……」
 覚束ない足取りのデイモンに肩を貸しつつ、廊下を進む。
 周りには幻術を使って誤魔化しているようだが、ジョットの目には頬を朱に染めて怒るデイモンの姿しか映っていない。
「処理したらしたで怒る癖に」
「そもそも中に出すなといつも言ってるでしょう!?」
「欲しいと言ったのはお前だろう」
「だから! 本当に、私がそんなことを言ったのですか!?」
 涙目で詰問するデイモンに、ジョットはわずかに肩をすくめてみせた。
 不思議なことに。
 デイモンは致したことは覚えていても、己がどう求めて、何を言ったかまでは記憶にないらしい。
 あれほど淫らに乱れてみせたというのに。
「けれど、あり得ません、私が、私がそんな……っ」
「言ったぞ? 自分から尻穴を拡げてみせて、俺のミルクが欲し」
「いやぁああっ、やめろ話すな聞きたくないぃぃっ!」
 鮮やかなほど顔が真っ赤に染まったところで。


「――あれ?」


 久しい声が耳に届いた。
「あの箱開けなかったの?」
「アラウディ」
「アラウディ! 貴方!」
 咄嗟に繰り出された幻術の矢をいとも簡単によけ、アラウディは怪訝そうに眉根を寄せた。
「何?」
「よくも顔を出せたものですね! あのような、不気味な箱を、寄越しておいて!!」
「あれ? 開けたの?」
「開けたぞ、そうしたらデイモンが猫になっ」
「貴方のせいで私がどんな目に遭ったと! 本当に! 貴方のせいで!!」
 再び現れた矢をやはり容易によけて、端正な口許を笑みに歪ませる。
「へぇ。それは見たかったな」
「みっ、なっ、こっ、ばっ」
「落ち着けデイモン、ほら、どうどう」
 今にもヒステリックに叫びだしそうなデイモンを緩く抱きしめてみるが、
「ジョットぉ! ジョットからも何か言ってやってくださいぃ!!」
 怒りの矛先がこちらに向けられただけで、結局、金切り声に耳をつんざかれた。
 くわんくわんする頭を軽く押さえ、とりあえずアラウディに向き直る。
「あー、何だ、その、あの手紙の通り、一日経てば元に戻ったからよかったものの……」
「それはおかしいよ」
「お、おかしいとは何ですか!?」
「デイモンは少し黙っていろ」
「ジョット!」
「いい子だから」
 優しく頭を撫でてやると、デイモンはぐっと唇を噛んで静かに俯いた。
 これはあとでたっぷり甘えさせてやらないと家具を全部壊すかもしれないな。
 よしよしとさらに抱き寄せつつ、改めてアラウディに問う。
「何が、おかしいというのだ?」
「だって、僕が聞いた話だと元に戻るのに最低でも一週間はかかるはずだよ」
「しかし、」
「それより早く呪いを解くには……あぁ、そっか、そういうこと」
 切れ長の目をさらに細めて。
 アラウディは歪む口許を手で隠した。
「どういうことだ? ひとりで納得してくれるな」
「手紙には書いてなかったけど呪いを解く方法ね、あったんだよ実は」
「何?」
「でも、D・スペードには絶対に無理だと思ったんだけどな」
「もったいぶらずに教えろ、方法とは何だったのだ」
「それはね……」
 唇の前に人差し指を立てて。
 まるで内緒事でも話すような素振りで声を低くして、アラウディは告げた。
「己の欲求に対して忠実になること、だよ」
「欲求?」
「自分はどうありたいとか、誰にどうしてほしいとか、欲求が満たされたら自然と、呪いは解ける」
「それでは、つまり……」
 ちらりとデイモンを見遣る。
 と、今にも泣き出しそうな顔で小刻みに身を震わせていた。
 噛んでいたせいで赤くなった唇が、何かを紡ごうと必死にわなないて。
 その姿すら胸が苦しくなるほど愛おしくて。
 本当に愛おしくて。
 自然と緩む頬を隠しもせず。
 にやけるジョットを見た瞬間、デイモンはその胸倉を掴んで小声で問うた。
「ジョット、昨夜、私は一体貴方に何をして何と言ったのですか?」
「聞きたくないのではなかったか?」
「じ、状況が変わったのです、私は、貴方に」
「いやぁ昨夜は楽しかったなぁ?」
「ジョット!」
 熱い頬を優しく包んで引き寄せ、ジョットは耳元でひとつだけ答えた。
「淫乱にねだるお前も、可愛かったぞ?」
「―――っ」
 背後でアラウディが至極興味なさそうに去っていったことにも気付かず。


 デイモンの絶叫は屋敷の隅々まで響き渡ったとか。







× × ×

にゃーーー!!(「・ω・)「