>04-2 | にゃんこの瞳





『 にゃんこの瞳 』





『 尻尾 × ちびすけ = 遊び相手 』





 最近、俺の雄雄しい尻尾が危機にある。
 そいつはいつも突然やって来る。
「やあ!」
 黒い塊は物陰からこっそり、そして勢いよく飛び掛ってきた。
 ひょいと揺らして避ける。
 黒い塊は着地に失敗して、思い切りつんのめった。
 ……大丈夫か?
 首だけで振り向くと、起き上がってまた襲い掛かってきた。
「とうっ」
 ピンポイントで俺の尻尾に。
 くるんと巻いてニ撃目も避ける。
 今度は着地に成功して、黒い尻尾を揺らしながら狙いを定める。
「……おい」
 ジャンプ。
 ひょい。
 べしゃ。
「楽しいか?」
 黒い塊はむくと起き上がって、笑った。
「とっても!」
 そして飽きもせずに再度飛び掛かってきた。
「リリったら、鈴鹿と遊んでもらってるの?」
 近くを通ったご主人様がしゃがんで黒い塊を撫でる。
「うん!」
 誰も遊んでやってなどいない!
「鈴鹿もリリと遊んでくれて、ありがとね」
 今度は俺を撫でて、それから階段の方へと行ってしまった。
 ご主人様に礼を言われてしまっては、これの面倒を放棄できないではないか。
「ていっ」
 黒い塊は見送りもせずに俺の尻尾にじゃれていた。
 ご主人様に対する礼儀は先日に教えたはずなのだが。
 と、うっかり尻尾で小さい頭を叩いてしまう。
 みぎゃ、と短い悲鳴。
「ぶ、無事か?」
 起き上がって鼻先を近づけると、ぺろりと舐められた。
「もっとあそぼ!」
 器用にも左右に跳ねる。
 一口で食べてしまえるほど小さい黒い塊。
 俺はふんと息を吐いて、べろりと舐め返した。
「きゃあぁ」
 黒い塊は楽しそうに転がって、嬉しそうに笑った。

 まぁ、ちびすけの相手も悪い気はしないがな。