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[ 拍手お礼文ログ1(夏) ]










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『 はなび 』(骸×綱)



 黒曜ランドの中、骸たちが住み家にしている建物の屋上。
 夏の、生ぬるい風が過ぎる。
「急に呼び出して、何だよ」
 建物自体に明かりがともっていないため、ひどく暗い。
 空に無数の星々。
 地上にも、散りばめたように、家の明かりが星のよう。
 淡い逆光を背にして、骸が微笑む気配。
「ちょっと見せたいものがありまして」
 かっこいいな、と心の中だけで思う。
 声に出すのはやっぱり恥ずかしい。
「変なものじゃ、ないだろうな」
「失礼な。貴方は僕を何だと思ってるんですか」
 だから照れ隠しに、小さな呟きに乗せて嫌味をひとつ。
「…………ヘンタイ」
 けれど、骸は明後日の方向を見ていた。
 いや、見ようと、している?
「もうそろそろですよ」
「何が――」

 ヒュルルル……ドーン!!

「花火!?」
 空に咲く大輪の花。
 色も鮮やかに、濃紺の星空に輝いて散る。
 何度も、絶え間なく。
「ここなら誰にも邪魔されずに見ることができるでしょう?」
 確かに、広い黒曜ランドには、ここより高い建物はない。
 他の家や建物も遠く、視界を遮るほどではない。
 誇らしく、咲いて、舞い散る。
「……これ、見せるために?」
 たくさんの色に照らされた、整った顔が満足そうに微笑む。
「まぁ、ひとつには」
「まだ何かあるのかよ」
「まぁ、それは後ほど」
 夏にも関わらず、ぞくりと寒気。
「何か変なことだろ……」
「クフフ」
 笑いながら、するりと腰に手を回してきた。
 暗闇に乗じて何する気だ。
 ていうか何かする気だ絶対。
「さ、触るなヘンタイ!!」



× × ×
ネタ提供:尾崎氏、感謝!



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『 ふうりん 』(山本×獄寺)



 真夏日の午後。
 何をするでもなく、畳の上に寝転がって。
 開け放った窓の外、日陰を作る軒の下、風を受けて揺れる。
「なぁ」
「んー?」
 仰向けからうつ伏せに変えて、隣で雑誌を読んでいた山本の膝にあごを乗せる。
 視線は窓の外に向けたまま。
「あのフウリンって風林火山と関係あるのか?」

 リンリンリン

 たっぷり鈴の音を聞いてから、山本が突然――
「ぶっ」
 吹き出した。
「!?」
 そのまま背を折って、声もなく肩を震わせて、爆笑し続ける。
「〜〜っ〜〜〜っ〜〜〜〜っっ!!」
 さすがにここまでの爆笑は初めて見た。
 じゃなくて。
「な、何笑ってんだよ!」
「いや、うん、あははっ」
「笑うな!」
 なんとか笑いを抑えて、目尻に浮かんだ涙を指先で拭うと、山本は少し言葉を探してから。
「……あのさ、フウリンって漢字で書くと、こう、風に鳴る鈴って書くのな」
 頭の中で文字を描いて。
 はたと、気付く。
「だから風林火山とは別物な?」
 風が吹いて鈴が鳴る。
 無骨な指が銀色の髪をすいて過ぎる。
 沈黙を破ったのは、獄寺の方。
「………………わ、」
「わ?」
「今の全部忘れろ!!」
「あはははっ」
 再び笑い出した山本の手に噛み付いて、獄寺は声を張り上げた。
「笑うなぁ!!」



× × ×
帰国子女は漢字に弱いイメージ。
山本の前だけでは、賢いイメージを壊してしまえばいい。



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『 しんぶんし 』(黒曜3人組)



 爽やかな空気に柔らかな日差しと目覚めを促す鳥の声。
「やはり朝は新聞を読むことから始めないと!」
 少々痛んだソファーの上で、骸は新聞をめくった。
 偶然通りかかった千種が、つい質問してしまう。
「骸さま、その新聞はどこから」
 答えは実に明快。
「先日契約しました」
「……契約、ですか?」
 彼の口から契約と聞くと、別の行為を連想してしまうが。
「えぇ。販売の人が来て、洗剤とトイレットペーパーとラップもいただきました」
「……ていうか、ここまで来たんですか」
「そうですよ?」
 なぜそんなことを聞くのかといった感じで、骸はやっと視線を上げた。
 まさかこんな廃屋にまでセールスに来るとは、不景気の影響とはすごいものだ。
 そして、ちゃっかり三点セットまでいただくとは。
「骸しゃん、これ何れ書いてるんれすかー?」
 どこから沸いてきたのか、犬がソファーの足元に座っていた。
 犬の指は大きな見出しを差していた。
 ちょうど骸から見て裏面なので、がさがさと新聞をひっくり返す。
「これは詐欺事件と書いてるんですよ」
「さぎじけん、骸しゃんがしそうなことれすね!」
 一応意味はわかってるのか、と千種の感心をよそに、骸は笑顔のまま足元の犬を蹴り上げた。
「きゃひん!」
「犬も、いい加減漢字を覚えましょうね」
「自分の名前は書けるようになったぴょん!」
 ふと、気になったので、もうひとつ質問してみる。
「……ちなみに、料金は?」
 答えはやはり明快。
「もちろんタダですよ。契約しましたから」
「あぁ、そういうことですか……」
 やはり最初の連想は間違っていなかった。
 確かに新聞とは契約購入するものだが、彼の場合の契約は、支配と同じ。
 販売員を支配して届けさせるなら、購入でも何でもない。
 料金だって一切かかるはずがない。
「こら犬! 新聞に落書きしては駄目ですよ!」
「名前書けら!」
 犬は自慢するように新聞を掲げて見せた。
 そこには、極太マジックで大きく一文字。
「それじゃ太です!」



× × ×
黒曜3人組はせめてほのぼので書きたいなぁと。



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『 さんぷんクッキング 』(雲雀+ヒバード)



「煮てよし! 焼いてよし! 食ってよし!」
「……君それ意味わかって言ってるの?」
「ひっばっりっ」
「……君それ意味わかって言ってるの?」
「焼き鳥! 唐揚げ! 鳥南蛮!」
「……君それ意味わかって言ってるの?」
「ひっばーどっ」
「……君それ意味わかって言ってるの?」
「三分で! でっきっる!」
「……何が」
「ひっばっりっ」
「…………そろそろ咬み殺すよ」
「みーどーりったなーびくーっ」
「……君いい加減にしないと」
「好き! 好き! 愛してる!」
「…………………………覚えさせた奴……咬み、殺す」
「なーみっもーりーのーっ」



× × ×
たぶん骸さんによる嫌がらせでしょう。



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『しりとり』(正一×白蘭)



 どうにも会話が進まない。
 手っ取り早く打ち解けようと白蘭さんが提案したのはしりとりだった。
 その思考がよく読めないけれど、とりあえず承諾して始めることにする。
 じゃあ、と手元のお菓子を見ながら最初の言葉は――
「マシュマロ」
 意外と普通だった。
 なら、こちらも普通に返してみよう。
「ロバ」
 小さな白い菓子を食べながら、白蘭さんが続けた言葉は――
「バイセクシャル」
 口に含んだ紅茶を吹き出しそうになった。
 今、な、何て言った?
 いや、たんに、そんな言葉しか思い浮かばなかっただけかもしれない。
「……ルビー」
「い?」
「いです」
「インテリ受け」
「?」
 初めて聞く言葉だ。
 インテリはインテリジェンスの略だとわかるが、受け?
 まぁ、これだけ自信たっぷりの発言だし、たぶんちゃんとした言葉なんだろう。
 あとで暇があれば調べてみよう。
「毛糸」
「突起物」
 あれだよな、つんつんしてる部分とかで、そういう意味だよな。
 まさかそんな違う意味なんてあるはずがないじゃないか。
「……机」
「エロティシズム」
 この人、絶対意図的に言ってる。
 わかった、さっきの意味わかんない言葉も絶対ソッチ系の言葉だ。
 ネットとかで調べたら絶対変なサイトとかに繋がるに違いない。
 もう嫌だ。
「……無理です」
「正チャンがんばって!」
 いけしゃあしゃあと励ましやがった、この人。
 でも確かに、打ち解けなきゃ仕事も何も進まないし。
 ていうか、なんで僕が白蘭さんのご機嫌取りしなきゃいけないんだよ。
「む……ムカデ」
「電動こけし」
「――っ」
 それは僕でも意味がわかるぞ。
 うぅ、お腹痛い。恥ずかしい。
 マジで研究室に帰りたい。
「……し、シカ」
「快楽主義者」
 どう方向修正しようとしても、思いっきり元に戻しやがる。
 何度トライしても同じじゃないか。
 ていうか、これが目的でしりとりしようとか言い出したんだ絶対。
 うわぁ、確信犯ってやつかよ。
 もう嫌だ。もう嫌だ。帰りたい。
「……もうやめませんか」
「どうして?」
「白蘭さんのボキャブラリーに耐えられません……」
 この人の頭の中、まさかそんな言葉であふれてるとか、ありえない。
 仮にも世界征服とか考えてる人が、ありえない。
 なんで大きな野望抱えてる人に限ってこんな、うわぁ、ありえない。
 逸らしていた視線を元に戻すと、爽やかな笑顔があった。
「正チャンならできるって!」
「無理です……」
 うわぁ、帰りたい。



× × ×
これが正一×白蘭の初書きでした。残念な結果でした。



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