拍手お礼文ログ2(冬)





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『 それはたべることができます 』(黒曜3人組)



 テーブルに小さな白い紙袋と、丸いパンのような白い塊。
 見たことのない物体。
「何ですかそれは」
「あ、骸しゃん」
 何ら抵抗もなく、それを食そうとしている犬と千種に、再度問う。
「その、机の上に置いてある白い、千種の頭のようなカタマリは何ですか」
「……ものすごく失礼な言葉が聞こえた気がする」
 千種の呟きはさておき、犬は素直に単純かつ明瞭に答えた。
「肉まんだぴょん」
「にくまん?」
 見た目は饅頭のようにも見えるが、「肉」というからには甘くはないのだろう。
 カレーパンのようなものだろうか。
「コンビニにおける冬の代名詞です」
「知らないんれすか?」
「冬の代名詞とは初耳ですが、食べ物なんですかそれ」
「うまいぴょん!」
「骸様も食べますか?」
「興味深いですね。いただきましょう」
 すでに犬の分は歯型がついてしまっているため、千種の分から一口もらう。
 断面から見える中身には、やはり肉が入っているように見えた。
 モグ。
 咀嚼を繰り返して納得する。
「……つまり肉入り饅頭ということですか」
「口に合いませんでしたか」
 まずいわけではないが、物足りない。
 骸は率直に問うた。
「チョコレート入りはないんですか」
「うわ、マズそう!」
 即座に感想を述べた犬を殴る。
 チョコレートに対してまずそうとは失礼なものである。
 千種が言いたくなさそうに、ぼそりと告げた。
「……セブンイ○ブンになら売ってますよ」
「買ってきなさい」
「何でもチョコレートで済ませようとするのはどうかと」
「はい、お金です」
 ポケットから取り出した紙幣を握らせる。
 千種はあからさまに嫌そうな顔をした。
 しかし、それにも気づかずに犬が嬉しそうに問う。
「ガムも買っれいいれすか!?」
「黙れ犬」
「ひとつだけですよ」
「骸様は話を聞いてください」
「っしゃあ、行くぜ柿ピー!」
 笑顔で手を振る骸と、パシられる気満々の犬との間で、千種はがっくりとうなだれた。
「……ハァ」
 ついたため息は誰にも気づいてもらえず。

 ――帰宅後。
 手渡されたチョコレートまんを食べた骸は変な顔をした後、静かに感想を述べた。
「あまり、その、チョコレートの割に、おいしくない、ですね」
「何にでも入れればいいというわけじゃないことをいい加減学習してください」



× × ×
肉まんと柿ピーはなんか似てる気がします。
見た目が。



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『 それはあまくありません 』(正一×白蘭)



『突撃、抜き打ち通信!』
「うわっ」
 前触れもなく開かれた回線と画面に、正一は思わず椅子から落ちそうになった。
 うっかりズレた眼鏡を指で押し上げて確認する。
 この回線は白蘭専用だが、どうにも画面の中に彼の姿を確認することはできない。
 これは一体何事か。
『見て見て正チャン!』
「画面真っ白で何も見えませんよ」
『大丈夫、壊れてないから。ほら』
 真っ白な画面が小さくなり、白蘭の笑顔が映し出された。
 それでも真っ白なソレは白蘭の顔ほどもある。
「……なんですか、その白い大きなカタマリは」
『マシュマロ!』
「はあ?」
『日本から特別に取り寄せたんだよ。おっきなマシュマロが売ってるって、教えてもらったんだ!』
「マシュマロ? それが?」
 そんな巨大サイズのマシュマロが日本に売ってる、だと?
 生まれてからずっと日本に住んでいるが、そんな巨大マシュマロなど見たことがない。
 画面の白蘭は楽しそうに報告してくれた。
『こんなに大きくて、あったかいんだよ!』
 あたたかい?
 ふと、正一は思い当たった。
 白くて、丸くて、あたたかくて、それにあの形。
「……それ、マシュマロじゃなくて――」
 正一の忠告も間に合わず、白蘭はその『マシュマロ』にかぶりついた。
 嬉しそうな顔が口を動かす度に、徐々に嫌そうな顔に変わってゆく。
『……正チャン……これ……』
「はい」
『甘くない……』
「でしょうね」
 それ肉まんだし。
『なんか、変な具が、入ってる』
「でしょうね」
 それ肉まんだし。
『日本のマシュマロって、変……』
「それ以前に、それマシュマロじゃありませんから!」
 それ肉まんだし!
『日本文化、結構好きだけど、これはないなー』
「いや、だからそれマシュマロじゃないですってば!」
 それ肉まんだから!
『食感も、なんか違うし』
「聞いてください! それは肉まんです!!」
 誰がどう見ても肉まんだ!
『幻滅』
「ちょ」
 その言葉を最後に、画面が砂嵐へと変わってしまった。
「勝手に通信切りやがった、あの人!!」
 叫んでもすでに言葉は届かず。



× × ×
教えたのは実はレオ君(骸)だったりしたり。
頭悪くない白蘭が書けないのはなぜだろう。



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『 雲雀さん物語 』(ディーノ+雲雀)



 昔々、ある所に人付き合いの苦手な雲雀さんがいました。
「ぼくもともだちとあそびたいなぁ」
 ディーノさんは雲雀さんと友達になってくれそうな人を探すことにしました。
 綱吉くんや獄寺くんや山本くん、
 ランボや了平兄ちゃんや骸さんなど、色んな人を紹介してみましたが、
 内気な雲雀さんは誰とも仲良くすることができません。
「どうしてすなおになれないんだろう」
 そんな雲雀さんを励ますためにも、ディーノさんは考えました。
 雲雀さんが提案したことにして、みんなをお花見に誘うのはどうだろう。
 一緒にごはんを食べたり、遊んだりしたら、自然と仲良くなれるはずだ。
 かくして、作戦は成功。
 雲雀さんにはたくさんの友達ができましたとさ。

「――お、し、ま、い、っと」
「また変な紙芝居作って……」
「きょ、恭弥!?」
「咬み殺すよ」



× × ×
初めてのデノヒバ、そして玉砕。



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『 どっちからでも 』(山本×獄寺)



 何をするでもなくコタツでごろごろしていると、廊下側の襖が開いた。
 山本の手には茶色の紙袋。
「獄寺、たいやき食べる?」
「たいやき?」
 ごろごろと起き上がる。
「食べたことある?」
「たぶんない。魚料理か?」
「あー、鯛っていうのはな、ほら、これ」
 山本はがさがさと紙袋を開けると、中から今川焼きのようなものを出した。
 その形はまるで鯛のよう。
 獄寺は納得に息をついた。
「……あぁ、そういうことか」
「うん。中身はあんこ。平気?」
「平気」
 二人でこたつに篭り、たいやきを頬張る。
 ふと、山本が思い出したように言い出した。
「そういえば、女子が心理テストみたいなのやってたなぁ」
「心理テスト?」
 なかなかおいしく、獄寺は二匹目に手を伸ばした。
 山本も三匹目を手に取る。
「頭から食べるか、しっぽから食べるかで、性格判断みたいな」
「意味あんのかそれ」
「さぁ」
「ていうか、頭もしっぽも、気分じゃね?」
「そうだよなぁ」
 沈黙が続き、それから獄寺が問うた。
「で、どっちからだとどうなんだよ」
「気になる?」
「ば、別にっ」
 つい顔が赤くなる。
 それを可愛いと思いながら、山本は答えた。
「たしか、頭から食べるのは自己中心的で大雑把、しっぽからは慎重派で鈍感だったと思う」
「ふぅん」
 手元のたいやきは、すでに上半身がなくなっていた。
 ということは。
「獄寺はじゃあ、自己チューで大雑把なのな」
「ンなのあてになるか!」
「あはは」
 べし、と叩くと、楽しそうな笑い声で返された。



× × ×
昔あったなぁというだけです。



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『 はんぶんこ 』(骸×綱吉)



 こたつに潜ってゲームをしていると、いつの間にか隣に骸がいた。
 一々相手にするのが面倒なので放っていたら、話し始めた。
「先日、千種の頭にそっくりな肉まんを食べましたよ」
「唐突に失礼な話から始めんなよ」
 今度会った時に思い出し笑いしたらどうしてくれる。
「微妙でした」
 しかも愚痴かよ。
 綱吉はやれやれとコントローラーを置いて起き上がった。
「甘くないから、とか言うなよ」
「よくわかりましたね」
「好き嫌いすんな!」
 まさにその通りかよどんだけ単純なんだよ!
「そのあとチョコまんとやらを食べたのですが」
「好きだなチョコレート」
「微妙でした」
「好き嫌い多い上にわがままだ!」
 単純通り越して馬鹿だろコイツ!
「ということで、さっきそこでたいやきを買ってきました」
「お前といると本気で疲れるよ」
 どこが『ということ』なんだよ繋がりがわかんねぇよ。
 肉まんが微妙でチョコまんも微妙で、それのどこがたいやきに繋がるんだよ。
 意味わかんねぇよ。
 骸は紙袋からたいやきをひとつ取り出した。
「半分こしましょう」
「別にいいよ」
 綱吉は手を振って断った。
 むぅ、と骸が顔をしかめてみせる。
「半分こですよ」
 これは譲る気がない時の態度だ。
 それほどお腹減ってないけど、まぁ、いいか。
「……したいんなら、うん、しろよ」
 途端に表情を明るくし、骸はたいやきを半分に割った。
 その片方を差し出す。
「はい。どうぞ」
「……そんで、しっぽ渡すんだな」
 予想はついてたが。
 骸も悪びれなく言った。
「当然でしょう。頭の方があんこ多いんですから」
「最悪だなお前」
「僕が買ってきたんですよ」
「うん。性格が最悪だな」
 わかってたけど。
「……しょうがないですね、もうひとつあげましょう」
 骸は新たに取り出したたいやきを半分に割り、片方を綱吉に渡した。
「またしっぽかよ!」
「だって僕が買ってきたんですから」
「ていうかお前、よりあんこ多く食べるために半分こしようとしてるだろ!」
「心外な! 僕は綱吉君と甘く楽しい時間を過ごすために!」
「じゃあ頭の方よこせよ!」
「嫌です!」
「うわぁ、きっぱり断りやがった!」
「キスしてくれたら、あげなくもないですよ!」
「妥協案がバカすぎる!」
「むしろポッキーゲームのように!」
「そんでまたしっぽ食わすんだろお前!」
「もちろんですよ!」
「いっぺん死んでこい!!」



× × ×
たんに「はんぶんこ」と言わせたいがための。



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