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おしまい?
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☆ お ☆ ま ☆ け ☆ だ(・ω・)お ☆
柔らかなベッドに降ろされたまま、ぐったりと横になる。
冷房をつけて部屋を出たので、頬に触れたシーツは気持ちいいぐらい冷えていた。
シャワーをしなければと思いつつも、一度横になってしまうと起きることも難しい。
うとうとと瞼を落としかけていると。
ジョットが姿見をベッド脇まで引っ張ってくるのが見えた。
「んー……勝手に物を、動かさないでくださいよ……」
「まぁまぁ」
髪や頬を撫でてから、腕を引いて身を起こさせる。
「何ですか、もう……」
「俺の部屋には鏡がなかったからな、ほら、見てみろ」
ベッドの縁に座らせたデイモンを後ろから抱きしめながら、ジョットは鏡の中を見遣った。
胸元が崩れてしまったけれど、丁寧に着付けられた浴衣。
髪色に近い藍を背景に豪奢に咲き誇る乱菊の柄と、ふわりと跳ね兎を浮かび上がらせた灰色の帯。
編み目の細かいレースは淡く縁を彩って。
「本当によく、似合ってる」
鏡越しの琥珀が、満足そうに細められて。
確かに女装ではあったけれど、ジョットの見立ては自分の好きなデザインそのもので。
わかってくれているのだという実感が嬉しくて。
口や態度では怒りつつも、本当は最初から許してしまっていたのだ。
嫌だという口癖に隠して。
「脱がすのがもったいないぐらいだな」
「……また着せれば、良いことでしょう」
「それもそうだな」
笑って、首筋にキスを落とし。
ジョットは帯の結び目を解いた。
一気に腹部の圧迫感が消え、無意識に長い息を吐き出す。
「んー、あとは、自分で脱げますから」
「やりたいからヤらせろ」
「今、何やら別の意味に聞こえましたがっ?」
「抱かせろ」
「聞き間違いじゃなかった!」
掴んでいた肩を引いてベッドに押し倒し、仰向けにして悦に見下ろす。
はだけた浴衣というのもまた乙なものである。
「やめっ、今日はもうっ」
「腹の所が汗でびっちょりだな」
「せ、せめて先にシャワーをっ」
湿った襦袢を開くと、白い肌が汗でうっすらと光っていた。
知らず、喉を鳴らせて。
ジョットは裾よけを抜き取ってから、塩味を帯びた肌に舌を這わせた。
「ひんんっ」
あまり筋肉のついていない腹は滑らかで、舌を滑らすほどにビクビクと震えた。
「やめ、お願い、シャワーしたら、その、シていいですからぁ……!」
「洗い流したら味わえんだろう」
「あ、味わうにゃ、ぁあっ!」
へその窪みに舌先を突っ込んで、溜まっていた汗も吸い取る。
「この馬鹿っ、酔狂っ、ヘンタイっ」
繰り出された拳を容易に受け取り、軽くキスをしてからシーツに縫い止める。
「ひどい言い草だな」
言いつつも低く笑い、腹部を濡らす汗を舐め取っていく。
「んっ……やぁ……ふ、ぅあっ」
舌に触れる塩味が薄まってくると徐々に唇を上へ移していき、わずかに腫れた胸の突起を含む。
「あぁっ、ん……だめぇっ……ジョッ、トぉっ!」
乳輪の縁を甘噛みしつつ、乳頭を舌先でこねくり回す。
一方で片手を腰に這わせ、もはや下着の意味を成していない褌を緩めて抜き取る。
相変わらず感度は良すぎるようで、ゆるゆると首をもたげ始めていた。
「おねがぃ、も、おふろでシても、いいからぁ……っ」
「それは魅力的な提案だが」
膝裏に手を差し込み、ぐい、と臀部が天井を向くように持ち上げる。
「やぁあっ!?」
「お前の体臭は甘くて好きだからな、風呂場でのセックスはまた今度だ」
「はなっ、はなせぇえっ!」
暴れる脚に腕を絡ませつつ、僅かに赤く腫れた穴を指で拡げる。
「んゃっ、やぁっ」
すんなり入った指を軽く曲げて引き抜くと、白い液体がとろりと溢れてきた。
先ほど中に出した分がまだ残っているということは。
持ち上げていた脚を己の肩にかけ、濡れた後口に取り出した自身を宛がう。
「や……ジョット……」
いっぱいに涙を溜めて、なお嫌がるデイモンに、ジョットは困った顔で問いかけた。
「本当に嫌なのか?」
「ん……」
「それなら俺も大人しく風呂に行くが」
ひくつく穴に先端を擦りつける。
デイモンはびくりと肩を震わせ、長く視線を彷徨わせた後に。
蒼い睫毛越しにジョットを見上げて。
「…………ゆっくり……やさしく、し、シて……?」
甘い声で、懇願した。
その、あまりの可愛さに、一気に貫いて泣かせてやりたい衝動に駆られる。
だけれど。
しかし。
理性で強制的に押し留め。
「……あぁ、任せろ」
「んんっ」
ジョットは何度か先端のみを出し入れしてから、ゆっくりと奥へと穿っていった。
唇を重ね、舌を絡ませ、混ざり合った唾液を嚥下して。
互いを味わって。
「動いていいか……?」
返事の代わりに脚を絡めて腰を擦りつけてくる。
積極的なのか消極的なのか。
ジョットは笑みを隠して、言われた通り、ゆっくりと挿抜を始めた。
自分の浴衣を脱ぎ落としながら、あるいはデイモンの浴衣を剥ぎながら。
秘部のすぼみや内壁の隆起ひとつひとつを楽しむように。
ぎりぎりまで引き抜いては、最奥まで差し込んで。
「ふぁあ……んぅっ、あ……っ」
快楽に溺れ身をよじる姿は愛おしく。
視線が合う度にわずかに蒼眼を細めて赤い舌をちらつかせる。
無自覚に雄を誘惑して。
「きもち、いぃっ……ジョット、のぉ……すきぃっ……」
「おまっ」
「んーっ……ジョットぉ……もっとぉ……っ」
やがて緩い刺激に焦れてきたのだろう、デイモンは脚を絡めて自ら腰を動かし始めた。
優しくとねだる割には強引な交渉を求めて。
いつだってこの可愛さに負けてしまう。
猛る劣情と自嘲をキスで隠して。
間近に問いかける。
「速めても、大丈夫か……?」
「い、からぁ……もっと、うごいてぇ……っ」
「はっ……まるで、淫乱のセリフだなっ」
「ちがぁっ、んぁあっ!」
一気に最奥を突かれ、白い喉がそらされる。
ジョットはそこに噛みつき、挿抜のリズムを徐々に速めていった。
「ぁあっ、んやぁっ、ジぉっ、ひぁあっ」
「ぃっ、この引っ掻き癖は、なかなか困った、ものだなっ」
「だって、手っ、はなれ、やぁっ」
「手でなく腕で、俺にしがみつけっ」
一度、胸を重ねるように身を屈め、首に腕を絡めさせる。
そのまま抱き上げ。
さらに律動を速めて。
「ジョット、ジョッ、んむぅっ、ふぁあっ」
懸命に名を呼ぶ舌を執拗に絡め取って。
離すまいと絡めてくる腕も脚も。
ぎゅうぎゅうに締めつけてくる内部も。
声も視線も髪も汗も心も思考も。
すべて。
「愛してる、デイモン、愛してるぞ」
「んあっ、あっ、あぁっ」
「イっ、くっ」
「ひぁあ、あぁああっ!」
きつく抱き合ったまま、ふたりは同時に精を放った。
「ぁ……っ……はぁ……」
蠢動する内部に残りを搾り取らせ、身を繋げたまま、
「あぁあっ!?」
ジョットは震えるデイモンの脚を掴んでひっくり返した。
「や、なにっ、やぁあっ」
獣の交尾のような格好から、背面座位へとさらに体位を変える。
必然的に深い箇所を刺激され、デイモンはわずかに白濁を吐き出した。
抱き寄せられるままにジョットの方へもたれかかる。
「ジぉっ……? なにを……んんっ」
呼吸を整えつつ、挿入したまま、じわりじわりとベッドの上を移動する。
イったばかりの体は動く度に震え、秘部と鈴口から精液を溢れさせた。
もしかすると、ずっとイキっぱなしなのかもしれない。
ようやっとベッドの端までたどり着くと、ジョットはデイモンの脚をMの形に開かせた。
背後から耳朶に口寄せ、低い声で囁く。
「見てみろ、デイモン」
「んっ……?」
顎を掴まれ、正面へと向けられる。
そこには――
「や、いやああっ!?」
白い肌と赤い痕。
下腹部を白濁に濡らし。
ジョットの逸物を根元まで咥え込んで。
卑猥な色を晒す自分が、いた。
「やだっ、やめっ、いやぁっ!」
姿見に映ったものだと認識するより早く、両手で顔を覆い隠してしまう。
「いつもどんな風に咥えているか、見たことがなかっただろう」
「こんなっ、見たくないっ……!」
「しっかり咥えて、離しそうにないな」
「言わないでぇっ!」
膝を閉じても繋がった箇所が隠れることはなく。
デイモンはいやいやと首を振って涙を散らせた。
しかし、懇願が聞き届けられるわけもなく。
「ぎっちり詰まって、指一本も入りそうにない……」
囁きが鼓膜を震わせて。
確かめるように指で穴の周りを押し拡げようとする。
「やぁ……やめて、ぬいてぇ……」
その言葉を待っていたとばかりに、ジョットは後ろ手をつく形で上体を傾けた。
「抜きたいなら抜いても構わないぞ?」
「ひぇ……?」
「もちろん――自分で、な?」
淡い琥珀色の瞳が剣呑に光る。
デイモンは声すらも失って、驚愕の目でジョットを振り返った。
当然、返ってくるのは悠然たる笑みだけで。
まるでひとり休憩しているかのような態度で、反応を待っている。
抜きたいなら。
自分で。
動くしか、ない。
「ん……」
デイモンはゆっくりとシーツに膝をつくと、両腕を支えに腰を持ち上げようとした。
「くっ……ぅ……っ」
抜けていく感覚に全身が震える。
一気に立ち上がればいいのだが、そこまでの体力は残っていなかった。
あと少し。
あと少しというところで。
「ひぁ、あっ!?」
ちょうどジョットのモノが前立腺を掠めた。
「ああぁあっ!」
座り込むままに、再び最奥まで飲み込んでしまう。
「んぁっ……はぁ……むり、ですぅ……」
「あきらめたらそこで試合終了だぞ、ほら、もう一回がんばれ」
「うぅ……」
上方向に動くことはあきらめ、今度は前方へ這うように腰を動かしてゆく。
「ふ……ん、ぁあんっ……っ」
少しずつ膝をずらして。
震えながらも引き抜こうとする姿を後ろから眺めて、ジョットは満悦そうに表情を緩めた。
デイモンは気づいていないようだが、前屈みになったせいもあって、こちらからだと結合部がよく見えた。
脈動に合わせて何度も締めつけて。
ひくつく度に、見せつけるように精液を溢れさせて。
赤い赤い果実からゆっくりと自身が抜き出されていく様が。
「視覚的にも……きつい、ものがあるな……っ」
「んゃっ!? お、きくなったぁ……っ!?」
「残念だが時間切れだっ」
「きゃぁああっ!!」
本当にその体力が一体どこに温存されていたというのか。
ジョットは上体を起こすと共にデイモンの膝裏に手を差し込んで抱え、激しく上下に揺らし始めた。
「やっ、あぁっ、うごかなっ、でぇっ!」
「ほら鏡見てみろ鏡、すごいぞ」
「ひぇっ?」
言われるままに視線を向けた先で、鏡の中の自分と目が合う。
浅ましくも。
嬉しそうに。
涎を垂らして喘ぐ自分が。
「いい顔だろう? この表情が、たまらんのだ」
「ぃや、ぁっ、こんなの、んぁっ、ちがうっ」
「下もよく見ておけ、どう突かれるのが悦いのか、しっかりな」
「ひああっ、やだぁ、やだぁっ」
拒絶に首を振りつつも、デイモンの視線は驚きをもって己の下半身に縫い止められていた。
グロテスクに血管を浮き上がらせた逸物が、白濁を溢れさせながら赤い秘肉をめくり上げて。
動きに合わせて、犬の尾のように揺れる自身からもとめどなく蜜がこぼれて。
「ふぁっ、あっ、やあっ」
デイモンは激しく揺さぶられながらも、その動きを止めようと手を伸ばした。
「ぁあんっ!」
けれどそれも浅慮な行動で。
自身に指を絡めたことで快感が走り、早く達したいという本能が淫らに自身をしごかせた。
「ジぉお、やぁ、きもひぃっ、あぁっ」
「力任せに擦ろうとするな、そこに、そう、引っ掻くように」
もう何も考えられず、ただ言われた通りに指先を窪みに捻じ込む。
「あぁあっ、こぇっ、しゅごぃっ、ひぁあっ」
「っあまり締め、つけるなっ」
「らって、ジぉっ、ジョットぉっ」
頬や口端に口付けると、デイモンは喉をそらすようにして唇を重ねてきた。
「ふぁっ、あっ、んむっ、んんっ」
無理な体勢と乱れた呼吸でまともに舌を絡めることができなくても。
離れる度に舌先を触れ合わせて。
唇に噛みついて。
「ジョット、も、イっひゃぅ、れひゃぅうっ」
「はっ、俺も、限界だ、出すぞっ」
「あぁっ、やっ、やっ、あっ」
一拍、息を止めた瞬間。
「―――っっ!!」
「く、ぅっ!」
甘い芳香を放って。
白濁が飛び散った。
何度か大きく身を跳ねさせた後、ふ、とデイモンの体が傾いだ。
「っと、大丈夫か?」
倒れ掛かってきた体を受け止め、その顔を覗き込む。
うっすらと目は開けているが、ぼんやりとして焦点が合っていない。
「デイモン?」
「ん……」
「抜くぞ?」
「んんっ」
ずるりと自身を引き抜き、そのまま膝の上で横向きに抱きかかえる。
「疲れただろう、あとは俺が処理しておくから、寝ていいぞ」
「んー……?」
乳を探す子猫のように鼻先を擦り寄せ、唇で肌に軽く吸いついてくる。
ほとんど意識のないときにだけやってくる行為だが、デイモンなりの甘えなのだろうか。
知らず頬を緩めて、手櫛に髪を整えてやる。
「安心しろ、ずっと一緒にいる」
「ん……」
「おやすみ、愛してるぞ、デイモン」
「ジョ……ト……」
そっと顎を捕えて、おやすみのキスを落として。
デイモンは穏やかに微笑むと、すぅ、と寝息をこぼした。
天使のような寝顔。
自分にとっては小悪魔も同然だけれど。
可愛くて可愛くてたまらない。
「おやすみ……」
小さく呟き、ジョットは慈しむようにデイモンを抱きしめた。
ふ、と浮上する感覚。
重たい瞼を持ち上げると、窓から暑そうな光が入り込んでいた。
何かが体を拘束していて動けない。
誰かの腕。
腰がだるい。
しばらく考えて、考えて、考えた果てに。
昨夜のことを思い出した瞬間、手の平でベッドを叩いていた。
このどうしようもない恥ずかしさは、一体いつになったら慣れるのだろう。
そもそも慣れることができるのだろうか。
抱きしめる腕をなんとか外して上体を起こす。
振り返るとジョットはまだ夢の中らしく、人の枕に涎を垂らしていた。
きらきらと光る金髪を撫で、つん、と指先で鼻を突いてやる。
ジョットは短く唸っただけで、もぐもぐと口を動かした。
小さく笑って頬に口付ける。
さて、と自分の体を見下ろす。
あちこちに赤い花びらが散っているが、腹痛もなく、きちんと処理してもらったのだと知れた。
臀部の違和感は相変わらずだけれど。
「結局シャワー、できませんでしたね……」
今は鼻が慣れてしまっているが、室内はあまりよい空気とは言えないだろう。
ジョットが目を覚ましたら、窓を開けて、シーツを交換して、シャワーして、それから――
コンコン。
突然聞こえたノックの音に心臓が跳ねた。
「デイモン? 起きてます?」
ノックの音と骸の声。
「まっ、ちょっ、待っ」
舌がもつれて制止の言葉すら紡げないでいる間に。
「失礼します、こちらに綱吉のお兄さん来てますか?」
無情にも扉は開かれて。
「帰ってこないと綱吉が心配して――」
言葉が途切れた。
性的な香りと。
汚れて皺の寄ったシーツとティッシュの残骸と。
タオルケットを抱き寄せて硬直するデイモンと。
全裸で転がっているジョットと。
それと、なぜかベッド脇に置かれた、何かが付着した姿見。
そのすべてを見て、そして瞬時に理解した骸は、にっこりと微笑んで。
扉を、閉めた。
チュン、と鳥の声をかき消すように。
「―――――っっっ!!!」
絹を裂くような悲鳴が辺り一帯に響き渡ったとか。
☆ お し ま い ☆